2021-11-09

【金融庁】地銀や信用金庫向けの新たな資本規制を導入へ

金融庁は地銀や信用金庫向けの新たな資本規制を2024年3月末から導入する。08年のリーマン・ショック後の国際的な銀行規制(バーゼル3)対応の仕上げとなる措置だ。

 財務の健全性の指標である自己資本比率を算出する際、株式などの相場変動に伴うリスクを高く見積もる一方、中小企業向け融資や居住用の住宅ローン融資など本業に関わる貸出資産のリスク評価を軽減する。「地域金融機関の経営安定化を図ると同時に、企業金融を円滑化し、地域経済を支える機能を十分に発揮するよう促すのが狙い」(企画市場局幹部)だ。

 リスク評価をきめ細かくした新規制導入の背景には、リーマン・ショック後の金融危機などに伴う株価急落時に多額の損失を出した大手行や地域金融機関の間で、自己資本を維持するための貸し渋りや貸し剥がしが横行したことへの反省がある。

 ただ、超低金利の長期化で地銀や信金は本業の収益力低下に歯止めが掛からないのが現実。一方で、新型コロナウイルス禍に対応した飲食や観光業など地元企業向けの大規模な資金繰り融資を巡っては今後、経営再建が上手く行かず、焦げ付くケースが頻発する可能性がある。

 そうなれば不良債権処理コストが嵩んで自己資本比率が目減りし、結局、貸し出し余力を低下させてしまう。金融庁にはそんな悪循環を断ち切るため、公的資金による資本注入制度の幅広い活用も含めた包括的な地域金融対策が求められそうだ。

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