HPをリニューアル
一方、世界で戦えるデジタル化にも本格的に着手している。
ちょうどこの10月にミキハウスの公式サイトがリニューアルした。20年にわたって企業概要をまとめた「コーポレートサイト」、マタニティの方や子育て中の親御さんへの情報や、赤ちゃんへの愛情をカタチにしたモノづくりのこだわりを伝える「ブランドサイト」、販売用の「ECサイト」を統合し、会社として世界に向けてより強く発信するプラットフォームとする第一歩を踏み出したところだ。
「こういうのは、そのことに専念してきたプロに任せなあかんのですよ。そして、担当する社員が学ばせてもらう。学ぶだけの手間暇がかかるから、大企業じゃなくて機動力のある少数精鋭のところがいいんです。そこにうちの文化を分かってもらいながら、ある意味ファンになってもらって、がっちりサポートしてもらえれば成功すると思います」
今回のサイト統合プロジェクトにも、そうしたバックアップの企業が存在し、20年来個別で運用していた各サイトの統合という難事業を構想からわずか1年で実現するために、陰に陽に力強く貢献してくれたとのことである。
「うちはアナログは得意やけど、デジタルの分野では遅れていた。今回、最新のインフラを整備してくれたので、この上にアナログの温かさやきめ細やかさを載せていきます。20年分の遅れを取り戻して一気に先頭に立とうという感じやね」
こうした取り組みを支えてくれるのも木村が培ってきた人との「縁」だ。
「元財務省の濱田敏彰さんという方がおられまして、昔、東京の交流会か何かでお会いして、その後、大阪税関長をされていたときにも懇意にさせてもらいました。今回のデジタル改革にもよい方をご紹介頂いて本当に感謝しています」
時代は移り、ビジネスの環境も大きく変化していく。その変化を柔軟に受け止めてミキハウスは50年を迎えた。しかし、世界最高の品質へのこだわりと、人とのご縁を大事にする姿勢は変わらない。
「変えなければいけないところと、変えてはいけないところの見極めが大事やね。世の中になくてはならないといわれる会社になりたい」
そう微笑む木村のまなざしは、これからの50年を見通している。 (敬称略、了)