2021-11-22

【セーフィー】カメラによる映像データであらゆる現場を〝DX化〟

佐渡島 隆平・セーフィー社長

1979年兵庫県生まれ。甲南大学経済学部在学中の99年にDaigakunote.comを創業。2002年同大学卒業後、ソニーネットワークコミュニケーションズに入社。14年セーフィーを創業。今年9月29日、東証マザーズ市場に上場し、時価総額1646億円を記録。

ソニーやキヤノンも出資するユニコーン企業

「カメラがあっても、それらが活かされなければ価値がない。映像データであらゆる産業の〝現場DX〟を進めたい」

 コロナ禍での遠隔ニーズや生産性向上が求められる様々な分野で活用できるクラウド録画サービスを展開。必要な箇所にカメラを設置し、映像データをチェックすることで、現場にいなくとも、あらゆる課題発見につなげられるメリットがある。

 例えば、ダイヤモンド・プリンセス号の感染者を受け入れた聖マリアンナ医科大学病院のICU(集中治療室)では患者用のカメラ映像をつなぎ、医師による確認を遠隔で実施し、医療従事者への二次感染を抑えた。

 土木・建築現場でも施工中の工事が計画通りに進捗しているかどうかを確認する「遠隔臨場」では、現場の従業員が胸ポケットにカメラを付けて現場に行けば、本社にいても確認が可能で、1日に2カ所が限界だった臨場が約40カ所へと増えた。

「飲食・小売店舗でも1人の店長が複数店を同時にチェックできるし、酪農家でも自宅から牛のお産を常にチェックできる。機械に任せられる仕事を機械に任せることで、人は人らしい働き方を実現できる」

 クラウドモニタリング・録画サービスシェアでは約15万台と約5割のシェアを獲得。カメラメーカーは「敵ではなく、ビジネスパートナー」だ。実際、株主にはソニーやキヤノン、三井不動産などが名を連ねる。

 次に狙うのは公共の現場だ。千葉市で実証実験を実施し、検証を進める。「台風の被害が大きくなる中、河川の増水をカメラが見守れば状況を把握できる」

 一方で映像データはプライバシーの問題もはらむ。「画像データの暗号化でセキュリティレベルを上げる」と共に、憲法学者や弁護士などで構成される第三者のデータ憲章委員会を設置。個人情報保護に努める考え。

 もともと自宅を建てる際に防犯カメラサービスのアナログさを知り、「誰もが使いやすいクラウド直結のカメラサービスを作れないか」と考え、ソニーグループ出身の3人で独立した。今後も人々の〝目〟の役割を担う。

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