2021-11-25

日本M&Aセンター社長に聞く「全国約127万社で後継者不足、 この問題をどう解決しますか?」

三宅卓・日本M&Aセンターホールディングス社長

「今、約127万社で後継者がいない。手をこまねいていたら廃業してしまう。これを救いたい」と話す、日本M&Aセンターホールディングス社長の三宅卓氏。日本M&Aセンターは10月1日「日本M&Aセンターホールディングス」を発足させ、持ち株会社体制に移行した。この狙いは「最高のM&Aを提供するため」という。単にM&Aを行うだけでなく、その周辺のサービスを提供するための企業を設立。今後目指す将来像とは──。

コロナという危機をチャンスに変える


 ─ コロナ禍は我々の生き方、働き方に大きな影響を与えました。三宅さんはどういう見方をしていますか。

 三宅 社内は在宅勤務体制の構築や感染防止対策をきちんとしてきましたが、個人的にはリモートだけだと大きな夢を描いたり、イノベーションが湧いてこないなという感覚を持っています。

 コロナのような危機では、経営者として会社をまとめなければいけないと同時に、新しいことを考えていかなければなりません。幸い、リモートを併用しながらも社員と対話を進めた結果、新しい取り組みをすることができたので、当社は業績を上げることができました。

 ─ 具体的にはどういうことに取り組みましたか。

 三宅 かなり泥臭いことをやっています。例えば、コロナ禍では東京から他の地域への出張が難しくなりましたので、全国にサテライトオフィスをつくったんです。出張が駄目ならば、地元に若手を住まわせてしまおうと。これはそれぞれの地域の皆さんにかなり喜ばれました。

 最もコロナ禍が厳しい状況だった昨年の5、6月のことでしたが、1カ月で十数カ所にオフィスを新設しました。皆さん、コロナで困っていて我々に相談したいというニーズをお持ちでしたが、東京からは来て欲しくなかった。それが地元にいてくれれば、すぐに相談ができるというわけです。

 ─ かなりのスピード感で取り組んだと。

 三宅 ええ。各地域に若手社員が常駐することに加えて、オンラインで本社とつないで、ベテランのM&A(企業の合併・買収)プレーヤーや公認会計士などとつなぎます。ベテランは東京からオンラインで、若手は現場からリアルでお客様とつながることができます。

 東京から出張しませんから訪問件数という「量」が増え、ベテランがオンラインで参加できることで「質」がよくなる。量と質の両方がよくなったことで、結果的に前期は創業以来最高の売り上げ、利益を上げることができました。

 ─ 日本M&Aセンターは今年、創業から30周年を迎えましたが、三宅さんが仕事をしてきた中で、今回のように災い転じて福となしたケースは相当ありましたか。

 三宅 ありましたね。例えば当社は2006年に東証マザーズに上場しましたが、それ以前はプライベートカンパニーでしたから、様々な問題を内在しており、審査の時にはそれが顕在化しました。

 その時に、ごまかすのではなく、正面から取り組んでいこうと。これを機会に本当に素晴らしい会社にしていこう、とポジティブに受け止めて、ガバナンス、コンプライアンス、システムなど、会社をもう1回作り直したのです。ピンチはチャンスだとポジティブに受け止めることが大事なのだと思います。

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