2021-12-14

【厚生労働省】コロナ対策、人材確保がカギ  「最悪の事態」に備え対策強化

政府は、今後懸念される新型コロナウイルスの感染拡大「第6波」に備えた総合対策をまとめた。自宅療養中に死亡した人が相次いだ今夏の反省を生かし、今夏のピーク時と比べて感染力が2倍になっても対応できるよう医療提供体制を強化したのが大きな特徴だ。具体的には今夏の3割増となる約3万7千人分の病床確保を打ち出したほか、「最悪の事態」に至った場合は強力な行動制限を求めた。

 後藤茂之厚労相は「感染拡大が生じても国民の命と健康を損なう事態を回避することが可能になる」と総合対策の意義を強調。「感染リスクを下げながら、経済社会活動が継続できる新たな日常の実現を図る」と訴えている。

 全体像はこのほか、3回目のワクチン接種をめぐり2022年3月をめどに職域接種を開始することや、治療薬の開発を後押しするため1種類当たり最大約20億円を支援することなどを明記。今夏と比較して「3倍の感染力」が見込まれる場合は飲食店休業、施設使用停止、イベント中止など要請することも盛り込んでいる。

 総合対策の実効性を高めるためには医療人材の確保が不可欠だが、地方自治体からは「看護師らのスタッフ拡充は容易ではない」との声が多く、計画通りに実施されるかどうかは不透明。

 総合対策の策定に先立ち、10月に計画骨格が示されたが、地方自治体や医療関係団体から「唐突だ」「事前の報告や調整がなかった」といった不満が続出。有識者からは「今夏から感染力が2倍になる事態は考えにくい」と疑問を呈する意見も出ており、調整不足も露呈した。

 岸田首相が内閣の最重要課題に掲げる取り組みだけに今夏のような事態を避けるため、関係者間の意見調整や連携も強く問われることになりそうだ。

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