2022-01-03

【2022年を大胆予測】特別インタビュー 御手洗冨士夫・キヤノン会長兼社長

グループの再編成で事業競争力の強化を



 ―― キヤノン会長兼社長の御手洗冨士夫さん、米中対立が長期化し、経済安全保障が重要視される中で、日本の役割をどのように考えますか。

 御手洗 米中間で本格的な対立を生まないようにすべきです。その意味で、日本の役割は非常に大きいと思います。

 日米は強固な同盟関係で結ばれていますが、日本にとっては中国も非常に大切な国です。日本と中国は隣国であり、地政学的にも重要ですし、中国には巨大なマーケットがあります。日本にとって米国も中国も最重要国であるのは間違いありません。

 従って、米中関係が火花を散らさないように努力するというのは、日本の責任でもあり、義務だと思います。

 ―― キヤノンは近年、カメラや事務機を中心としたビジネスモデルからの転換を図っています。構造改革の進捗状況はどうなっていますか。

 御手洗 2000年代に入ってから、IT技術が加速度的に進展し始めました。また、スマートフォンの台頭やペーパーレスの流れも重なり、当社の主力事業であったカメラ業界や複合機業界では市場がぐっと縮小し始めました。そこで10年くらい前から、新しい事業を育成してきました。それが商業印刷・産業印刷、ネットワークカメラ、メディカル、産業機器の4事業です。

 この4事業を成長させ、2025年までに、グループ全体の売上の4割を占めるくらいにしたいと考えています。そのために2021年4月に、これまで製品別だった事業本部制を産業別グループへ再編成しました。

 プリンティンググループ、イメージンググループ、メディカルグループ、インダストリアルグループと4つのグループをつくり、それぞれの事業ごとに最適な開発体制や生産体制を構築しました。これにより、開発の無駄が省け、工場の設備も融通しあえることから、開発も生産も極めて合理的・効率的になります。

 また、お互いに技術を持ち寄ることで、相乗効果を生み出し、事業競争力の強化を図ろうとしています。

 ―― 当面は新規4事業に注力するということですね。

 御手洗 まだ先の話しですが、いずれこの4つの事業を各々1兆円の売上規模にしたいと考えています。同時に5番目の事業も育成しようと考えています。

 例えば、当社にはインクやトナーの技術がありますから、材料系の事業は新しい事業の有望な柱だと考えています。

 

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