2022-01-05

どうなる? 2022年の食品業界 カルビー社長兼CEOの伊藤秀二に直撃!

サツマイモのビジネスが好調 適正な価格で生産者にも還元


 ── 国民の食生活を支えるカルビー社長兼CEOの伊藤秀二さんから見た消費動向は。

 伊藤 食品事業はエッセンシャルビジネスと言われ、社会にとって必要だという認識が高まりました。コロナ禍を受けて、巣ごもり需要が発生したことも事実です。一方でエネルギーの価格が上がり、食油の価格上昇にも直面しています。

 日本では食品や外食の価格への転嫁がなかなか進まない実情もあります。我々も企業努力をして対応してきましたが、コロナ影響によって世界的にサプライチェーンが混乱してしまいました。その結果、米国からジャガイモを輸入するにあたって、物流の面で苦労するといった状況も起きました。

 ── コンテナ不足や人手不足などが重なりました。

 伊藤 ええ。当社はジャガイモの90%以上を国産でまかなっています。気候変動の影響もあって、21年の北海道は夏の気温が高すぎて、その国産のジャガイモの収量が減ってしまいました。このように国産も海外産もともに原料の問題があるわけです。需要の創造も必要ですが、供給も合わせて増やしていかなければ事業として成り立ちません。

 実は、日本で生産されるジャガイモの約18%を当社が使っています。この原料の安定的な調達を目指して、20年にはホクレン農業協同組合連合会さんと連携協定を結び、北海道産の農産物の振興に取り組んでいます。社会課題の解決はもちろん、やはりジャガイモの価格を全体的に上げることで、生産者にも還元できるようにしていくことが必要です。

 ―― 日本は低価格原理主義の傾向が強いですからね。

 伊藤 はい。日本では何となく食品は「安くて良いものを提供して、生活を豊かに」という表現が多かったのですが、これにも限界があります。適切な価格、国際標準の価格にしていかないといけません。

 我々からすると、やっていることは正しいことだけれども、その付加価値をいかにお客様や社会に訴求していけるか。ここも同時にやらないといけないと思います。

 ── 新規事業も含まれます。

 伊藤 そうです。当社は20年、茨城県にあるサツマイモのビジネスを手掛ける企業を子会社化しました。スーパーなどで売っている焼き芋のビジネスなのですが、これが本当に好調です。全世代の方に売れています。扱っているサツマイモの糖度が高く、甘くて美味しいのです。

 ── ジャガイモを扱ってきたノウハウが生きるわけですね。

 伊藤 はい。8割は焼き芋ですが、残る2割はスイーツのような形です。スイーツはアジアや米国、欧州で人気ですから、日本の農産物輸出にもつながります。豆類にも注目しています。

 日本には美味しくて優秀な食品が全国にたくさんあります。付加価値をつけて海外で売ることができれば、さらに良い産業になっていけると思いますね。

【農林水産省】日本産の食品輸出増に弾み RCEPが2021年1月発効へ

Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事