2022-01-05

どうなる? 2022年の旅行業界② 山北栄二郎・JTB社長に直撃!

人類に旅や交流は不可欠! リアルな交流の価値を再認識する


 ── 旅行業はコロナ禍で厳しい状況です。JTB社長の山北栄二郎さんの現状認識とは。

 山北 観光産業は人と人が交流することがベースですから影響があまりにも大きかったですね。コロナ禍前に比べ一時は2割程度まで売り上げが落ち込みました。海外旅行は取り扱いがゼロに近い状態が続いています。全世界的に影響を及ぼすパンデミックは誰もが未だかつて経験したことがありません。

 ── ワクチン接種の普及など好転の兆しも見えています。

 山北 ええ。まずは国内の交流を早期に復活させていくことが重要です。そのためには地域の魅力を発信するためのプロモーション施策が必要です。その次のステップとして、海外旅行、そしてインバウンドの再開です。国境が開いていない今の状態が解消されるための条件整備が求められます。

 ── 旅行の姿も変わりますが、デジタルとどう絡めますか。

 山北 コロナ禍前からお客様とのデジタル接点は拡大しており、我々もデジタルを活用してお客様により旅をしやすい環境をつくろうとしています。いま当社では、「旅マエ」「旅ナカ」「旅アト」から、次の「旅マエ」までの「日常」を含めてトータルでサービスを提供しようと考えています。旅先で人々と交流し、さまざまな体験をする。家に帰ってきて思いを馳せる。そしてまた次の旅を考え、出かけていく。こういうサステナブルなサイクルに寄り添っていきたいですね。

 ── やはり旅自体はリアルになるということですね。
 山北 はい。そもそも交流や旅はリアルなものです。バーチャルがリアルに置き代わるという話も聞きますが、むしろバーチャルはリアルの必要性を再認識させてくれます。コロナ禍でオンラインツアーやオンラインイベントが盛んになり、我々の取り扱いも非常に増えました。一方で、テレビで観光地が紹介されると訪れたくなるのと同様、バーチャルな体験には、リアルな旅への欲求をより高める効果があるのではないでしょうか。

 ―― ハイブリッド型だと。

 山北 ええ。さらに我々は「旅ナカ」のコンテンツ開発にも力を入れています。実際に地域の観光協会と連携し、そこでのアクティビティをオンライン上で検索し、手配・決済までできる仕組みを作りました。

 その土地ならではの魅力を感じながら、現地を楽しむ。お客様はもちろん、地域を元気にし、地元にも還元できる仕組みです。
 コロナ禍で加速したデジタル化の利点も加わり、コロナが落ち着いた後はこれまで以上に旅や交流の豊かさが深まると思います。

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