2022-01-12

経済安全保障をどう考える? 日本の半導体復活へ、国の役割と企業がやるべきこと



強者連携を強化していくことが大事



 

 深刻な半導体不足や長期化する米中ハイテク覇権争いなど、半導体のサプライチェーン(供給網)構築は大きな課題。

 このため、各国は半導体の確保に向け、自国にファウンドリー(受託生産)企業を誘致している。日本は半導体受託製造世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)を誘致。TSMCはソニーグループと共同で、熊本県に新たな半導体工場を建設する。TSMCは米アリゾナにも新工場を建設する計画だ。

 そうした中、東京大学大学院工学系研究科長・工学部長の染谷隆夫氏は「今は国際連携が進んでいるので、最先端分野に連携して取り組むことが重要。一国で全てを賄うよりは、各国の強みを生かして強者連携を強化していくことが大事なのだと思う。研究者という視点から見れば、技術者同士の国境を超えた人的交流は長年蓄積されている。分断が続き、世の中の変化が大きい時代には、物事が不安定な方向に行きがちなので、交流の懸け橋を担う存在として、大学は重要な役割を果たしていけるのではないか」と語る。

 「産業のコメ」と言われる半導体。米中対立が長期化、そして中国と台湾の緊張関係が高まりつつある中で、重要産業を育てる国の役割とは何か。そして、国の活力を担う民間企業の力をどう引き出していくのか。改めて、産官学それぞれの役割が問われている。

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