2022-01-17

【1兆円買収】日立化成買収後の昭和電工の”今”と”未来”

髙橋秀仁・昭和電工/昭和電工マテリアルズ社長


新会社で目指すこと

「世界で戦える会社になりたい。そのためにも売上高1兆円を維持しながらEBITDA(利払前・税引前・減価償却前利益)20%を目指す」

 これが、統合後に目指す企業像。昭和電工の安定収益事業、基盤事業に加え、日立化成買収で手に入れたエレクトロニクスとモビリティをコア成長事業に、そしてライフサイエンスを次世代事業に据える。

 両社の統合で、どんな強さを発揮できるのか─。その成果はすでに出始めている。

「素材から材料まで"手の内化"できることで何ができるか調べようと、両社の200近い製品のつながりを調べている。長い距離の手の内化ができればできる程、すり合わせがややこしければややこしい程、僕らの勝ち目がある」と髙橋氏。

 その一例が、世界シェアトップの半導体のシリコンウエハー用研磨剤「CMPスラリー」。

 この製品の性能を左右するのは〝液〟と〝粉〟を混ぜる技術。昭和電工には粉の基礎技術があり、日立化成は液に強い。両社の技術を融合させることでより強い製品の開発につなげている。

 また、旧日立化成所有の開発拠点「パッケージングソリューションセンタ」は国内の半導体開発で重要な役割を果たしている。半導体回路の微細化が限界に近付く中、後工程が競争力の重要なカギを握る。パッケージングソリューションセンタでは様々な工程の装置を揃え、最初から最後までの工程を一貫して再現できる。

 21年10月には次世代半導体技術を開発するコンソーシアム「JOINT2」を設立。材料・装置メーカー12社がオールジャパンで開発を進めている。「JOINT」とは他社との協業によるオープンイノベーションで半導体実装にかかわる様々なソリューションを提供しようと18年に設立した共同事業体だ。

 髙橋氏は「大風呂敷を広げると」と前置きしながら「日本の半導体材料バリューチェーン、経済安全保障上でも重要な取り組みだと思っている」と語る。

「パッケージングソリューションセンタ」と昭和電工のマテリアルインフォマティクスを行う「計算科学・情報センター」など研究開発組織の連携でもシナジー効果が期待されている。

「ありがとう」が報酬に

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