2020-12-26

業界再編にどう関わるか? 産業革新投資機構が新体制1年

オンラインで会見した、横尾敬介・産業革新投資機構社長(左)、久村俊幸・同CIO

「今後、業界再編もあると思うが、産業競争力の強化が第一」と話すのは、産業革新投資機構(JIC)社長の横尾敬介氏。

 経済産業省がJICのガバナンスに介入したことでコマツ顧問の坂根正弘氏、現・日本ペイントホールディングス会長兼社長の田中正明氏ら前経営陣が総退陣、2019年12月に横尾氏を社長とする新体制が発足。それから1年が経った。

 この1年の間、ベンチャー・グロース領域に投資するファンド、大企業からの事業切り出しを始めとする業界再編を手掛けるファンドを立ち上げてきたが、成果はこれから。20年12月には、これら傘下のファンド組成に加え、民間ファンドへの出資を通した投資活動「LP投資」に取り組むことを表明。民間の投資資金が不足している分野に「JICが入ることで、他の投資家を呼び込む」(JIC取締役CIO=最高投資責任者の久村俊幸氏)という〝呼び水効果〟を狙う。

 また、既存企業の救済について、横尾氏は新体制発足時に「救済的なものはやらない」と否定。前身の産業革新機構はルネサスエレクトロニクスやジャパンディスプレイといった救済色の強い案件に投資し、批判されてきたことが背景にある。

 今後、JICの出番が増えてきそうなのが業界再編。横尾氏は今後の再編に関して、菅義偉首相が言及した地方銀行の他、自動車関連、電力業界といった「既存の成熟産業」で起きる可能性があると指摘。

 JICは否定しているが、すでに日立製作所による日立金属、日立建機の再編に関する報道でも名前が取りざたされている。

 単に企業救済ではない、企業や産業が成長できる分野に投資し、成果を上げることができるか。官民ファンドの存在意義が厳しく問われている。

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