合従連衡の野党 野党では衆院選で41議席を獲得した日本維新の会が勢いを維持している。毎日新聞の昨年12月の定例世論調査で支持率は22%まで伸び、27%の自民党に迫った。維新とパイプのある菅は「参院選でも議席を増やすだろう」と周囲に語る。
一方、国民民主党と、都知事の小池百合子が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」は昨年12月、政策に関する意見交換会を始めた。国民代表の玉木雄一郎はかつて、小池が結成した旧希望の党に所属していただけに親和性は高い。
都民フは、先の衆院選には準備不足で間に合わなかったが、参院選に候補者を立てて国政進出を目指す方針だ。国民との意見交換会をその地ならしと見る向きもある。
自民党の閣僚経験者は「小池が玉木に接近したのは維新と組みたいからだ」と指摘する。維新、国民両党は衆院選後、国会で「第三極」として連携を強めており、組み合わせとしてはあり得る。ただ、維新は地盤の大阪から全国に展開するチャンスを迎えているだけに、都民フとの東西での単純なすみ分けには乗らない可能性がある。
泉健太を新代表に据えた立憲民主党は党勢回復に向けた試行錯誤が続いている。連合会長の芳野友子は立憲に共産党との決別を促す発言を繰り返すが、参院選の1人区(改選数1)で立憲が共産票を当てにせずに戦うのは難しい。泉はいずれ、連合か共産かの踏み絵を迫られるだろう。
今のところ岸田政権に大きな死角は見当たらない。「政高党低」ではなく「政高党高」を目指すというのが岸田の持論。自身が主導権を握りつつ、党の意向も尊重するという器用なさばきができれば、前政権までとはひと味違った宰相になる道が開ける。 (敬称略)
【政界】安定政権の確立に向けた参院選 岸田政権にとっての鍵は対中外交