2022-01-27

【政界】岸田政権を待ち受ける2022年の政局 長期政権へ「最大の関門」は7月の参院選

イラスト・山田紳

※2022年1月26日時点

首相の岸田文雄は2022年を「大胆に挑戦する年」と意気込んでいる。7月の参院選を乗り切り、安定した政権運営を可能にする「黄金の3年」を手に入れることができるのか。新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」との新たな戦いが始まり、通常国会では野党との論戦が激しさを増す。突破すべき「関門」は少なくない。「新たな資本主義」を掲げる岸田にとって、日本を再び世界をリードする国に再生させるには、一瞬たりとも気の抜けない政権運営が続く。

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普段以上に慎重

「明けましておめでとうございます。先ほど、伊勢神宮に参拝し、新型コロナウイルスに打ち勝てるよう、また、国民の皆さんにとって今年が素晴らしい1年になるよう、お祈りしてまいりました」

 岸田のそうした年始の挨拶に始まった1月4日の記者会見。岸田は2022年の干支・壬寅について「壬は新しい動きが胎動し、大いに伸びるという意味を持つ。同時に寅という字には慎むという意味がある。大いに伸びるときには普段以上に慎重でなければならないという教えが込められている」と語った。

 そして、今年1年の抱負について「大胆に挑戦を行い、新たな時代を切り開くための1年としたい。一方で、慎重であるべきところは慎重に物事を進めていくという謙虚さを忘れないよう肝に銘じる」と述べた。

 岸田は慎重に取り組むべきものとして新型コロナ対策を挙げる。これまで感染拡大「第6波」を警戒し、外国人の全面入国禁止などの徹底した水際対策を行ってきた。「最悪の事態を想定」した先手の対応だが、世界各地で急速に拡大する「オミクロン
株」は日本でも増加傾向が続いている。

 岸田が長期政権を目指すにあたり「第1の関門」となるのが新型コロナ対策だ。菅義偉前政権では第3波、第4波、第5波と感染が広がるたびに「対応が後手に回った」などの批判を浴び、内閣支持率を下落させた。感染拡大により国民の不安が募り、社会・経済活動の自粛に伴う不満も膨らんだからだ。さらに説明不足が不安、不満を増幅させた。

 それだけに岸田は政権発足降、ワクチンの3回目接種の前倒し実施や無料検査の拡充のほか、自宅療養と宿泊療養、入院治療の組み合わせの見直しなどに取り組んできた。

 ただ、オミクロン株は実態が分からないまま想像以上のスピードで拡散しており、「従来のデルタ株とは違った対応も必要になる」(政府関係者)との見方も出ている。前政権の教訓をどこまで活かせるかは不透明だ。

 そうした中で、通常国会が17日に召集された。立憲民主党や共産党などの野党は7月の参院選を有利に戦おうと、国会論戦で岸田政権の屋台骨を揺さぶる構えだ。新型コロナ対策を含め野党の追及をかわせるかが「第2の関門」となる。

 岸田政権はまず、過去最大となった約107兆円の22年度予算の年度内成立を目指す。子育て世帯への10万円給付や、看護・介護・保育などの賃金引き上げといった施策を裏打ちするためだ。予算がらみでは、膨れ上がった社会保障費や増大する防衛費なども論戦の的になりそうだ。

 また、岸田政権の目玉政策である経済安全保障推進法案、こども家庭庁関連法案の成否も焦点となる。重要法案の審議だけでなく、国土交通省による基幹統計の書き換え問題を巡る説明責任を果たせるかも注目される。

 岸田政権は、参院選を控えて150日間の会期を延長しない方針で、与野党対決型の法案提出を控えるなど慎重な国会運営に徹することにしている。

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