2022-02-07

日本商工会議所会頭・三村明夫氏が訴える「日本再生に必要なこと」

三村明夫・日本商工会議所会頭



エネルギーの「移行期」を乗り越えるために


 ─ 現状、自然エネルギーは非常に不安定ですが、これをどう活用するかも問われます。

 三村 先日、風力発電への依存度が高い欧州では風が吹かずにエネルギー価格が暴騰しました。また、中国では洪水による大雨で石炭の供給不足が起きました。したがって、自然エネルギーを活用するのであれば、そのバックアップ電源を必ず手当しなければならないのです。

 ところが、バックアップ電源は稼働率が非常に低く、それを持つことのコストは非常に高い。

 そういうことも含めて自然エネルギーのコストは高いということを理解する必要があります。将来的にコストの低い大容量蓄電池が開発されたら問題の解決につながるとは思いますが、現時点ではそうした状況にはなっていません。

 コストの増加を受け入れる覚悟を決めるのか、あるいは、他の手段を模索するのか。こういうことをしっかり議論することが必要だと思います。

 ─ ある意味で、覚悟が必要だということですね。その目標をどうやって実現していくかが問われている。

 三村 今回は民間の意見というよりも、温室効果ガス46%削減という目標があり、それを達成するためにどうしたらいいのかという発想だったと思います。

 1つの問題は、今、世界的に多くの企業が化石エネルギーへの投資を抑制する方向に動いていることです。

 将来的に自然エネルギーが整備されるには、長い時間がかかるということです。その中で安定供給を担ってきた化石エネルギーへ資金が回らなくなれば、今後エネルギー危機、エネルギー価格の高騰を繰り返すことになるのではないかと思います。こうしたトランジション(移行期)をどううまく乗り切っていけばいいのか。この問題を考えていく必要があります。

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