2022-03-03

【財務省】IMFが財政健全化を要望も 自民党内では積極財政要求

国際通貨基金(IMF)は1月28日、対日審査を踏まえた声明で「中長期的な債務の持続可能性の確保が重要」として財政健全化を進める必要性を強調した。声明は新型コロナウイルス対策に伴う積極財政を評価しつつ、「マクロ経済政策の余地を増やさないといけない」とも言及しており、財政赤字が膨張し続ける現状にくぎをさした。

 鈴木俊一財務相は2月8日の記者会見でIMFの声明に関し「様々な観点から検討を重ね、政府一丸となって経済再生と財政健全化の両立に取り組む」と述べた。「わが国は経済財政諮問会議に専門的な知見を有する外部有識者が参画して議論している」とも語り、IMFが提唱した政府のマクロ政策に関与する第三者機関の設置については慎重姿勢を示した。

 ただ、鈴木氏が財政規律に配慮しつつ、経済成長との両立を強調するのは夏の参院選を意識したものとみられる。

 自民党内では保守系を中心に2025年度の基礎的財政収支(PB)の黒字化目標の撤廃など、積極的な財政出動を求める声が強まっており、財政をめぐる対応を間違えば、党内政局の火種になりかねないためだ。

 岸田文雄首相は現在は新型コロナウイルス感染対策を優先し、財政出動を厭わない姿勢を示すが、首相が率いる宏池会(岸田派)は伝統的に財政健全化を重視してきた。鈴木氏は麻生派重鎮だが、麻生派は宏池会を源流としていることもあり、鈴木氏と首相が財政再建の必要性を共有していることは衆目の一致するところだ。

 コロナの収束で景気が回復すれば政府の財政運営が焦点となる。放漫財政に慣れ切った経済政策を大きく転換できるか、鈴木氏の双肩にその重責が重くのしかかる。

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