2022-03-01

2022年、日米の株価はどう動くのか?菅下清廣氏に聞く

菅下清廣・スガシタパートナーズ社長


米国の株価はまだ「一番天井」?


 ─ 相場を見る上で時間というのが大事な要素なんですね。

 菅下 そうです。注意すべきは2.5年から3年のサイクル、次は7年から10年のサイクル、次が20年のサイクル、最後は超長期波動で40年から60年です。これは景気循環になっており、株価は連動しています。

 先程お話した米国の株価の底が1982年ですから、この超長期波動の40年に当てはまります。この間、ニューヨークダウは約7000ドルから約3万6000ドルと5倍以上になっています。

 ただ、私が重視するのは、おっしゃっていただいたように時間です。米国は40年上げ、日本は途中の7年で天井を打ち、20年下落を続けた後、アベノミクスで上がり始めたのです。

 ─ 「失われた20年」の時期と符号しますね。

 菅下 米国は今、40年目の天井がやってきており、日本は89年12月の最高値から20年下落して、3年で底入れして、今の相場は12年から始まって、22年でもまだ10年しか上がっていないのです。

 ─ 米国が天井を付けたということは、世界の株価はこれから後は下落するということになりますか。

 菅下 米国はおそらく天井を付けましたが、まだ一番天井です。相場では天井を打つ時には、必ず二番天井を付けます。米国の株価は一番天井の後に下落し、戻りがあるでしょう。そして二番天井を付けた後には、大きく下げる可能性があります。

 二番天井の形には、一番天井と二番天井が同水準、二番天井の方が低い、二番天井の方が高いという3種類があります。ニューヨークダウの二番天井が一番天井である3万6000ドル近辺となるかに注目しています。

 ─ 冒頭に申し上げたように米FRBが金利引き上げに動いています。この影響がどう出ると見ますか。

 菅下 FRBが金融引き締めに動いたのは7%にも及ぶインフレを抑えるためです。一方でコロナ禍で実体経済は傷んでいますから、景気対策は打ち続ける必要があります。ですから、米国の株式市場は下落相場の序盤だと言えます。ここで、これまで安心して米国株を買っていた投資家が青ざめて売っているわけです。

 揉み合った後、再び株価が上昇して3万6000ドルを抜き、例えば3万8000ドル台を付けたりすると、ここで天井となります。この天井は米国発の「ニューハイテク相場」の歴史的な天井となります。

 ─ 足元でまだ、ニューハイテク相場は続いていると。

 菅下 そうです。米国のニューハイテク株の技術革新、企業業績の向上は続いています。実際、決算を見てもフェイスブック(メタ)を除いて好決算を発表しています。

 FRBはインフレを抑えるために金利を上げるとして株価は下落したわけですが、ニューハイテク株の業績がいいので、その銘柄の株価は上昇しています。

 そしてFRBは金融を引き締めていますが、日本銀行、ECB(欧州中央銀行)の金融緩和はまだ続いています。その意味で金融引き締めも、まだ序盤だということです。

Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事