2022-03-01

2022年、日米の株価はどう動くのか?菅下清廣氏に聞く

菅下清廣・スガシタパートナーズ社長



2022年の相場は「前半安、後半高」


 ─ 22年の相場全体の動きをどう見通していますか。

 菅下 大まかに「前半安、後半高」だと見ています。なぜ、前半安か。株価が下がる条件は3つあります。第1に中央銀行による金融引き締め及び利上げです。これは日本のバブル崩壊が、当時日銀総裁の三重野康氏による急激な引き締めによるものだったことからもおわかりいただけると思います。

 その意味で、21年11月から株式の取引については「手仕舞い」という投資家が多いんです。私自身も株式や仮想通貨など、保有していた金融商品を売って、現金比率を高め、次のチャンスに備えています。長く続いた米国株の波動は、日本の株式市場に強く影響を及ぼしています。

 短期の波動では20年2月、3月がコロナショックによる底でした。日経平均は2月19日、1万6358円という安値を付けました。ニューヨークダウは3月23日の1万8000ドル台を底に上昇しています。

 ─ 22年には米国株の1つのピークが来ると。

 菅下 ええ。波動から見れば22年の9月から23年の2月くらいまでに株価は天井を打つということが読めます。底値から2年半から3年のサイクルです。日米の株価が今年前半に当面の安値を付けて、早ければ4月以降、遅くとも夏以降に上昇してくる可能性があります。私自身が株取引を一時的に手仕舞ったのは、FRBのテーパリング(量的緩和の縮小)が21年の11月から始まったことが理由です。

 株価が下がる第2の理由は増税と規制強化です。日本で言えば、例えば岸田文雄首相が検討するとした、「金融所得課税」の強化などは、それに当たります。米国でも金融引き締めに加えて、バイデン大統領はトランプ前大統領が下げた法人税を増税しようとしていますし、超富裕層に税金をかけようとしている。

 さらには米国経済を牽引してきたニューハイテク企業「GAFAM」に対して、規制をかけようとしています。

 第3の理由は国際情勢不安です。米国と中国、米国とロシアの対立が今まさに起きています。

 ─ 米国株を巡る情勢は、株価が下がる3つの条件が全て揃っているわけですね。

 菅下 そうです。そして株価が下がる時には直線ではなく、ジグザグに、上げ下げを繰り返しながら下げていきます。私が「波動」と呼んでいる理由もそこにあります。株価が大きく下げても、そこからまた戻る時があるのです。そしてまた下げて、徐々に安値の水準を下げていくのです。

 天井を付けた時から、調整は短くて2、3カ月、少し時間がかかる時には数カ月から半年、さらに時間がかかる時には12~13カ月というのが「日柄」、時間の波動です。

 直近、ニューヨークダウがいつ天井を付けたかというと22年1月5日です。ですから、天井を付けてから、2、3カ月の下落調整なら、前述のように22年の3月末くらいまでに当面の底入れをして4月以降上昇してくる可能性があります。上昇半年ほどの調整で終わるなら夏場、7、8月頃からニューヨークダウは上昇を始めるでしょう。

 ─ 先程の株価が下落する3つの条件が重なっていることを考えると、米国株の状況も難しそうですね。

 菅下 そうですね。その意味で、相場を読む時には時間の波動が非常に重要になります。昔から相場世界では「値頃より日柄」という格言が言われています。目の前の価格の動きよりも、その株がどのくらいの時間、下落しているか、あるいは上昇しているのかという時間軸の方が大事だということです。

 ─ 今後、日米の株価を動かす材料には時間以外にどんなものが考えられますか。

 菅下 日米の株価が転機を迎えるとすると、政治で動く可能性があります。日本は7月に参議院議員選挙、米国は11月に中間選挙を控えています。この政治の動き次第で、株価が反転上昇する可能性があるのです。

 例えば日本で、参院選までに国民受けするような景気対策を打ち出すかもしれません。アベノミクス相場以来、解散総選挙は株高につながっています。

 米国でも11月の選挙に向けては夏頃から景気をよくしておかないと、米民主党が選挙に勝つのは難しくなるでしょう。ですから、日米ともに7月は相場の転機になる可能性があります。

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