2022-03-02

ビートたけしの顔面神経麻痺を治療した「中国鍼」の威力とは?ドクターリウに直撃

劉勇・コリトレール会長兼社長

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「腸」の健康に作用する健康食品


 ─ 鍼灸以外で何か手掛けている事業はありますか。

 劉 森永乳業さんに提供していただいたビフィズス菌LM株Ⓡ300億個を配合した「ベイビーフローラⓇ」という健康食品を発売しました。

 俳優の里見浩太朗さんが推薦して下さっているのですが、里見さんにこの健康食品の話をしたところ、健康維持の観点で飲み続けてくれていて、非常に調子がいいと言ってくださっています。

 私自身も40年間、お肉にビール、食事中に仕事の電話を受けると、腸の具合が悪くなっていました。何をしてもダメだったんです。

 その時にあるドクターが「ビフィズス菌がいいよ」と教えてくれて試してみたところ、その後は安心してお酒もお肉も楽しめるようになったんです。

 そこから、ビフィズス菌の研究、臨床を始め、様々なテストをした結果、現在の「ベイビーフローラⓇ」にたどり着きました。ビフィズス菌は加齢と共に減少し、慢性炎症を引き起こしやすくなることがわかっています。ですから「ベイビーフローラⓇ」のような健康食品でビフィズス菌を補充することは、体の健康に非常に重要ではないかと思っています。

 ─ 劉さんは今後、何をテーマに仕事をしていきたいと考えていますか。

 劉 やはり「未病」をどう改善するかです。私は人間の体は一つの製薬メーカーだと考えています。それを鍼で刺激することで、体内の製薬システムを動かし、成長させることができると。これが「自然治癒力」です。

 人間の体には365カ所のツボがありますが、重要なのは、その時その時に適切なツボを刺激することです。

 ─ 先程お話していたように、その技術を次世代につなぐことも大事ですね。

 劉 ええ。しっかりスタッフを育てたいと思っています。臨床の経験を積む前に、基礎をしっかり学んでもらい、その上で私が長年蓄積してきた技術を習得してもらって、患者さんと接してもらう。

 そして治療以上に問診と診断が重要です。患者さんのデータを見て、訴えてこられた症状をじっくり聞き、熟慮した上で治療法を立案しなければいけません。やみくもに鍼を打てばいいというわけではないんです。

 ─ 鍼灸の発祥は中国で6世紀頃に日本に伝わったと言われていますね。

 劉 そうです。2000年以上前に古代中国で生まれたと言われています。ただ、その歴史の中で進化を続けてきました。

 例えば江戸時代に活躍し、日本の「盲人教育の父」と呼ばれる杉山和一先生は、鍼を管に通して打つ施術法である「管鍼法」を開発した方です。

 中国鍼は鍼管がありませんから、どうしても手で持つとブレます。鍼管があれば、目が見えなくても手で触って、上からトントンと叩くだけでいいわけですから大変な革命です。

 ─ 日本人は海外から文化を取り入れて、それを工夫することが得意と言えます。

 劉 ええ。理にかなっているんです。ですから私が中国で治療をしていた時も、患者さんから「なぜ痛くないんですか?」と聞かれましたが、「日本が中国鍼を進化させた結果ですよ」とお話していました。

 ラーメンも中国が発祥ですが、日本が進化させて今、全世界にそのラーメン文化を広めています。それと同じですね。

 私自身も中国で「名医」と呼ばれる先生を訪ね歩き、どんな技術なのかを全て自分の体で体験し、自分の目で見て、耳で聞いて、総合的に取り入れた上で発展させたことで今があります。

 今、コロナ禍で皆さん自宅にいることが多く、体を動かす機会が減っていますし、ストレスも溜まってきていると思います。それに対して病院を訪ねる前に、まずは東洋医学で「整える」ことをお勧めしたいと思います。

りゅう・ゆう
1958年中国東北生まれ。中国で外科麻酔医として活躍した後、83年に日本に拠点を移す。85年東京・銀座に鍼灸治療院を開院。政財界・スポーツ界・芸能界からの信頼も厚く、ビートたけし氏の顔面神経麻痺を回復させたことでも知られる。94年クイックマッサージ業態「コリとれーる1号院」を開院、2009年鍼灸治療院Dr.Liu Methodハリアップを開院。

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