2022-03-03

半導体不足などで減産が続く中 【トヨタ】が過去最高益を達成

サプライヤーと連携しての生産が課題となる(写真は元町工場)

半導体不足やコロナ感染拡大影響などで減産が余儀なくされる中、トヨタ自動車の2021年4―12月期連結決算では、同期として過去最高を記録。11年の東日本大震災から積み上げてきた供給網の強靭化策が大きな効果を上げたと言えそうだ。

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 売上高は前年同期比19・2%増の23兆2670億円、純利益は57・8%増の2兆3162億円。「サプライヤーと緻密に情報を共有し、1台でも多くのクルマを生産することができた」(同社)。しかも、収益性の高いSUV(スポーツ用多目的車)やハイブリッド車が販売台数で初めて首位に立った米国など、主要市場を中心に伸びた。電動車の比率もレクサスと合わせて27・7%(前年同期比22・9%)にまで上昇している。

 ただ、肝心の生産台数は伸び悩む。今年度の世界生産は計画していた900万台から850万台に引き下げた。当初は930万台を計画していたことと比べると、その影響は大きい。それでもフォルクスワーゲンが780万台にまで落ち込むことと比較すると、トヨタを頂点とするグループのサプライチェーンの強靭さが目立つ形だ。

 加えて、販売するクルマが不足していることで販売奨励金の抑制が進み、営業費用が大幅に縮小。さらに車両輸出に伴う為替の円安効果で約4430億円の営業利益の押し上げ効果があった。22年3月期の通期予想を据え置いたが、営業利益は2兆8000億円、純利益は2兆4900億円と増益を予想する。

 ただ、「業績自体は外部環境によって押し上げられた側面が大きい」とアナリストは指摘する。実際、トヨタの生産台数の落ち込みの影響を色濃く受けるデンソーなどトヨタグループの主要部品メーカー7社のうち、4社は通期予想を下方修正。トヨタは部品メーカー支援のため、急騰している原材料については、調達価格に反映する時期を通常の半年頃から前倒しする検討を始めているという。

 最高益を手放しで喜べないトヨタ。部品会社との強固な関係を維持しながら消費者のニーズに対応した商品展開ができるかどうかが今後の鍵になる。

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