2022-03-09

あなたの生活は大丈夫? 原油・天然ガスの高騰が世界経済にも打撃

過去最高値水準まで上昇する可能性も…



 

 米国産標準油種WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の先物価格が約7年半ぶりに1㌭=100㌦を超えた。ロシアによるウクライナ侵攻を受け、原油や天然ガスの価格が高騰。3月2日には一時112㌦まで上昇し、約11年ぶりの高値圏で推移している。

 市場では紛争が長期化すれば、原油価格はさらに上昇するとの懸念が広がっており、三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主任研究員の芥田知至氏は「対ロシア制裁が強化されたり、石油施設や輸送網に障害が起こったり、破壊されたりといったことがあると一段高になるリスクはある。仮に今以上に戦火が広がったりすると、過去最高値(2008年7月の147㌦)水準まで上昇する可能性もある」と指摘する。

 2月28日時点のレギュラーガソリンの店頭価格の全国平均は1㍑=172・8円と8週連続で値上がり。これ以上のガソリン代高騰は、物流網の停滞や消費を冷え込ませることにつながりかねない。このため、岸田文雄首相はガソリン代などの高騰抑制策の補助金上限額を現行の5倍に引き上げる考え。ただ、実現には財源の確保や出口戦略などの課題が山積している。

 日本はエネルギー資源の大半を輸入に頼り、市況が上がると、とれる防衛策はほとんどない。補助金の支給で時間稼ぎし、事態が鎮静化するのを待つしかできないのが現状だ。

「2050年の脱カーボンを図る中でも、やはり、化石燃料は重要な位置づけを占めるということが今回の件でも分かった。資源開発投資が安定的に起こるような目配りも大切」(芥田氏)

 理想と現実の狭間で、日本のエネルギー安全保障戦略を今一度、議論すべき時に来ている。

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