環境変化をどのように事業機会に変えていくか
―― 65歳以上の高齢者が約30%と、日本の高齢化は世界で一番進んでいることで知られています。そうした中、近年は「高齢者のフレイル(加齢による虚弱化)予防」という言葉がキーワードに挙げられていますが、イオンとしては超高齢社会の到来に向けて、どのようなスタンスで臨んでいく考えですか。
吉田 フレイル予防というのは、確実に訪れる超高齢社会に向き合い、より良い社会にしていくため、当社が何をなすべきかという視点で捉えるべきテーマだと思っています。
昨年4月から5カ年の中期経営計画をスタートさせたんですが、今回の計画を策定するにあたっては、コロナ禍を含めて、われわれを取り巻く社会環境、事業環境の急速な変化への対応を重要視しました。その中で、今回のテーマでいえば、健康ニーズの高まりや地方創生の加速という環境変化が大きいと思います。
―― 具体的にどんな変化になりますか。
吉田 今回のコロナ禍において、日常の免疫力を高めるための食習慣へのシフトや、いわゆる都市依存から郊外へのシフトという変化が起こっています。こうした健康ニーズの高まり、もっと言えば、治療や予防に加えて未病を含めたウエルネスニーズにいかに対応していくかは非常に大事なことです。
また、地方創生の加速という点においても、われわれは以前からリージョナルシフト、地域に密着した経営を進めてきました。こうした環境変化をどのように事業機会に変えていくかが重要だと思っているんですね。
そうした環境認識から生まれた成長戦略を、中期経営計画では「五つの変革」ということで五つの柱を立てました。このうちの二つが「新たな時代に対応したヘルス&ウエルネスの進化」と「イオン生活圏の創造」というテーマになります。