2022-03-17

三菱UFJが米社との決済事業停止、既存インフラの壁は厚く

亀澤宏規・三菱UFJフィナンシャル・グループ社長

「当初の事業計画から、大きく見込みが外れた」と話すのは、三菱UFJ銀行決済企画部長の高橋秀氏。

 2022年2月22日、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG、亀澤宏規社長)は、連結子会社のGlobal Open Network Japan、通称GO-NETジャパン)の事業を停止する準備に入ったと発表した。

 MUFGが80%、米アカマイ社が20%を出資して19年4月に設立した会社で21年4月に事業を開始。MUFG社長の亀澤氏が副社長時代から関わってきた「肝いり」の会社で、会長も兼務してきた。

 GO-NETジャパンはアカマイのブロックチェーン技術を活用して、高速、高セキュリティ、低価格で決済やIoTインフラを提供する目的で設立。その背景には、日本の送金や決済のインフラコストが高いという問題意識もあった。

 しかし「我々の事業へのニーズはあるが、既存インフラとの関係がある中で、お客様にはその切り換えにはコストがかかる。それを乗り越えてシステム投資をしてもらうまでには至らなかった」と高橋氏。

 業績への影響は軽微としているが、デジタル分野に注力し、そこで成果を出そうとしていた亀澤氏にとっては痛手。

 だが、業界内からは、亀澤氏自身が深く関わった事業でも利益が出ないとなれば撤退するという姿勢に「MUFGは最近、非常に現実的判断が目立つ」(他メガの関係者)という声もある。この経営姿勢が功を奏するか。いずれにせよ、デジタルでの成果は引き続き求められる。

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