2022-03-17

丸和運輸機関・和佐見勝の「共に成長の輪をつくる!」(第8回)

丸和運輸機関本社と物流センター

マツモトキヨシの物流改革で提案

 産業構造は時代と共に変わっていく。1995年(平成7年)はインターネット元年とされ、国民生活にもネットが入り込んでくる時代となった。

丸和運輸機関・和佐見勝の「共に成長の輪をつくる!」(第6回)

 折しも、ドラッグストアチェーン大手のマツモトキヨシはこのとき、『500店舗』構想を打ち上げた。それまで首都圏中心に170店舗台であり、一気に拡大・成長を図ろうとする同社の大胆な戦略を見ても、時代の変革が感じ取れよう。

 それまでドラッグストアをはじめ、薬品卸(問屋)がベンダー(販売者)となって商品を納入し、その物流も担っていた。その薬品卸の傘下に配送を担う運送業者がいるという図式である。運送業者はその薬品卸の下請けであり、薬品卸の指示で薬品をドラッグストアや薬局に配送。そういうときに、丸和運輸機関は「500店舗」構想に見合う物流改革を直接、ドラッグストア側に提案。それが相手に見事に受け入れられたのである。

 そうしたベンダー(薬品卸)から見れば、「自分たちを通り越して、直接やり取りされては困る」という反発も生まれた。

 そのような反発を受けながらも、業界全体でコスト低減に動く考え方は根強く、ローコスト・オペレーションへの追求が始まろうとしていた。「ローコスト・オペレーションということでは、ベンダーさんの自社物流よりは、わたしどもの方が有利ということで見直してもらった」と社長の和佐見勝は語る。


和佐見勝・丸和運輸機関社長

 何が、どう違ったのか?

「当社は物流のプロとして、『在庫ゼロ』『納品100%』『ノー検品』を提案、実現しました。そしてその後も次々に物流改革を提案しました。例えば、ベンダーさんたちは朝から配達していくんですよ。朝8時半や朝9時から配達を始め、夕方の6時
までには終わる。われわれの仕組みは夜間配送ですから、全然違う。われわれの提案はマツモトキヨシさんがお店を開く前に納品全てを完了させるというやり方です」

 深夜の作業だから、配送車の回転数が高まる。それで開店前には100%の納品が完了という仕組み。店側にも歓迎された。

 この夜間配送という仕組みも、清掃用品を扱うダスキンが物流改革を行うときに、丸和運輸機関が提案し、実行したもの。

 その夜間配送も一筋縄ではいかないこともある。例えば、都心のマンションなど住宅がある地区の店では、深夜の午前1時や午前2時に作業していると、住民の安眠妨害になるというので、早朝6時以降に配送し、開店までに間に合わせるといった工夫を加えていった。

 深夜のことだから、店舗内は基本的に無人だが、相手に納品するスペースをしっかり確保してもらっておき、その場所に納品して帰ってくる。「一切、お店の方には負担を掛けない。夜間ドライバーはきちんと教育して確保しておく。その作業には深夜割増の手当が付くし、ドライバーにもメリットがあります」

 マツモトキヨシはこの提案を受け入れ、6カ月間、試験的にやろうということになった。

以下、本誌にて

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