2022-04-08

【ウクライナ侵攻】識者はどう見る? 元内閣官房副長官補・兼原信克《その2》

エネルギーの禁輸にどこまで踏み切れるか



 ―― 問題は欧米諸国が踏み切った経済制裁の影響がどれくらい効いてくるかですが。

 兼原 米バイデン大統領は侵攻の2週間くらい前から、ロシアは侵略戦争に向かっていると言い出しました。アメリカ人はアングロサクソンですから、戦争上手です。彼らはロシアの様にいきなり軍隊を使うのではなく、まずは外交面で攻勢をかけて仲間を増やし、情報戦を展開して国際世論を喚起し、次に金融やエネルギー面で締め上げる。

 産油国のロシアにはエネルギーの締め付けは効きませんが、金融制裁は効く。国際社会や国際世論を味方につけ、経済的に疲弊させてから戦争をし始めるという総合戦の手法が得意なんですね。DIMEと言われています。外交(D)、情報(I)、軍事(M)、経済(E)の総合戦です。

 バイデン・チームは、ブリンケン国務長官が率いていますが、情報戦は上手くやったと思います。普通ではありえないようなレベルで軍事機密を暴露して、ロシア軍の態勢を世界に公表したので、プーチンがウクライナ侵略を準備しているというイメージをあっという間に浸透させた。その結果プーチンはヒトラーのような侵略者だというイメージが出来上がりました。

 次は経済面、特に金融面で締め上げるということです。先ずはSWIFT(国際銀行間通信協会)からロシアの主力銀行を排除したわけです。これはドルやユーロの決済ができないということです。ドルを決済に使わせないと言われたら、貿易ができません。ロシアにとっては打撃です。しかし、同時に、貿易は双方向ですから、西側がこれに耐えられるかという疑問が出てきます。

 ロシアの経済力は所詮韓国程度ですから、世界経済の中では大した存在ではない。しかし、天然ガスや原油、小麦市場では、ロシアの存在感は大きい。もすごく存在感があるので、ここを本当に切れるかどうかという話になっています。

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