2021-01-02

「宅急便をつくりかえる!」ヤマトが電動三輪車の導入実験

「ラストワンマイルの配送も、従来の宅急便と異なる、eコマース(電子商取引)に適した新しい形を作り始めている」─。こう強調するのはヤマトホールディングス(HD)社長の長尾裕氏だ。

 コロナ禍で巣ごもり需要が旺盛となる中、同社は新たな宅配網の構築を進めている。新たにヤマトHDは電動アシスト三輪自転車を使った集配作業の実証実験を千葉県市川市で始めた。2〜3カ月かけて検証し、数年内の実用化を目指す。電動アシスト三輪車はドイツのベンチャー企業が開発。1回3~4時間の充電で、約7時間の走行が可能だ。荷台の最大積
載量はインターネット通信販売の宅配便約50個が入る。三輪車であるため、五大都市圏のように道幅が狭く、トラックによる集配が難しい地域で効果が発揮できると期待する。

 ポイントになるのは電動アシスト三輪車が免許不要で、車体後方にある荷物部分のボックスが着脱可能な点。これにより「環境対応と多様な働き方、配送の効率化が実現できる」(関係者)。

 電動車であることから環境への負荷は小さい。欧州では走行中に二酸化炭素(CO₂)を排出する車両が入れないエリアが出てきているため、日本でも同様の動きが広がると見られており、その規制にも対応する。

 また、配送業界の工程で大きな手間だった「仕分け作業の短縮」(同)を進めることも可能。通常は大型ターミナルから小さな集配センターへと段階を踏んで荷物を仕分けしてユーザーに配送する仕組みになっている。

 しかし、ボックス着脱式の自転車を導入することができれば、ボックスごとに狭い1エリア分の荷物を大型ターミナルなどで事前に仕分けしておくことができる。例えば、遊休地に箱を設置することで、ユーザーが荷物を受け取りに来る「宅配ボックス」のようにも使える。

 ただ、現状ではこの電動自転車の積載量や機能が日本の規制と適合しない部分もあり、実験結果を踏まえて規制をクリアするよう改良し本格導入を目指す。

「宅急便をつくりかえる」と語る長尾氏。45年目を迎える宅急便だが、セールスドライバーが荷物を届けると共に、ユーザーから要望やニーズを汲み取る使命は変わらないが、その裏側は大きく変わりつつある。

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