2022-04-13

40年ぶりの社長交代【江崎グリコ】新社長に江崎悦朗氏

「いかに人々の日常的な生活の中で食べていただけるブランドや商品を開発していくか」─。40年ぶりの社長交代となった江崎グリコ新社長の江崎悦朗氏(49)は自らの使命をこう語る。

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 グリコと言えば、創業者の江崎利一氏がキャラメルの「グリコ」を考案したことを皮切りに、ビスケットの「ビスコ」、スナック菓子の「プリッツ」やチョコレート菓子の「ポッキー」といった数々のヒット商品を生み出してきた。菓子に付く「おもちゃ」も同社の知名度を一気に高めた。

 同社の中興の祖と言えるのが悦朗氏の父親で3代目社長の江崎勝久氏(80)。1982年、40歳で社長に就任した後、「セブンティーンアイス」や「アイスの実」といった冷菓のロングセラー商品を生み出し、海外販路の開拓にも取り組んだ。同氏は「当社は常に後発になるため、差別化した商品で参入しないと戦えない」と語る。実際、グリコもビスコも後発としての参入だった。

 勝久氏を有名にしたのが劇場犯罪として社会を震撼させたグリコ・森永脅迫事件だ。犯人グループからは青酸入りの製品を店にばらまくとの脅迫を受けた際、フィルムで製品の箱を密封する「シュリンク包装」で対応。同社の対策は菓子メーカーが包装を見直すきっかけにもなった。

 そんな勝久氏から創業100年の節目にバトンを受け取った悦朗氏。慶應義塾大学総合政策学部を卒業した後、サントリーなどを経て2004年に江崎グリコ入社。経営企画や海外事業部門の責任者を務めてきた。早速、悦朗氏は新たに会社の存在意義(パーパス)を「すこやかな毎日、ゆたかな人生」と発表。「健康」を柱に据える。

 足元ではアーモンドミルクをはじめ、糖質やカロリーを抑えたアイス、機能性表示食品のチョコレートなど同社の健康関連商品は堅調。悦朗氏は24年12月期には売上高を全社平均で3~5%、営業利益を5~10%成長させることを目標とする。

 ただ、最近はヒット商品に恵まれておらず、売上高が3500億円前後を推移する状況が続き、営業利益率も5%台と明治ホールディングス(8・9%)などと開きがある。他社も健康を主軸とした商品を相次いで投入。原材料の価格高騰に対する手立ても必要になる。

 持ち前の差別化された商品を今後も打ち出していけるかが悦朗氏の課題となる。

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