2022-04-14

【新社長登場!】あいおいニッセイ同和・新納啓介社長に直撃!「新たな保険」をどう開拓するか?

新納啓介・あいおいニッセイ同和損害保険社長



「テレマティクス保険」を世界で展開していく


 ─ テレマティクス自動車保険は今後、データを活用した新たなビジネスの創出の可能性も見据えていますか。

 新納 はい。先ほど申し上げた通りデータが集まっていますから、このデータの利活用で新たなものを生み出し、価値の連鎖につなげていきます。

 さらにはモビリティも変わっていきます。電動化、自動運転などは全国一律ではありませんが、地域地域で取り組みが進んでいく。この時に、我々が培ってきたテレマティクスのノウハウ、データを生かすことができます。これによってテレマティクス自動車保険も、さらに進化していくと思います。

 また、国内だけでなく、我々は今海外でも8カ国でテレマティクス自動車保険を販売しており、地域に合った形での取り組みをしています。

 例えばタイで初めての運転挙動型の保険ということで売れていますし、日本以上に電動化が進む中国ではEV(電気自動車)に対応した商品として展開、さらに環境問題に厳しい欧州ではハイブリッド型専用の自動車保険の販売を始めています。

 全世界でテレマティクス自動車保険を展開することで、今後日本が向かう先に先回りができていることは、当社の強みだと考えており、こうした取り組みで保険を進化させていきます。

 ─ 内定会見ではデータ利活用で手数料ビジネスにつながる可能性に言及していましたが、新たなビジネスが生まれる可能性もある?

 新納 ええ。まだマネタイズできていませんが、現時点でもデータ利活用で取り組んでいることがあります。

 例えば、現時点で375の地方自治体と連携協定を結んでいますが、その一部と連携して、我々が持つテレマティクスのデータを元に、地域の安全マップをつくっているんです。「この場所は急ブレーキが多い」、「危険な場所だ」という部分を明らかにして、安心・安全な街づくりに役立てていただくという取り組みです。

 全く違う観点では、この保険を契約しているお客様に「運転技能向上トレーニング・アプリ」を提供しています。これは脳科学研究の権威である東北大学加齢医学研究所の川島隆太教授と連携して進化させています。このアプリはいわゆる「脳トレ」ですが、取り組むことで安全運転スコアが向上することがデータでわかっています。

 ご高齢の方が安全・安心に乗っていただく時間、免許返納の時期が延びますから、地方でマイカーを失って交通弱者とならないような、地域課題解決につながる取り組みだと考えています。

 さらに発展させて、認知症予防につなげるものができるのではないかということで、東京医科歯科大学さんと提携して、我々のデータと医学を掛け合わせてできることを今、検討しています。こうした中から、新たなビジネスが生まれていくのではないかと期待しています。

 ─ 他業種の企業との連携も増えてきそうですね。

 新納 ええ。スタートアップを含め、異業種の企業と連携できればいいと思っています。英国ではオックスフォード大学のAI(人工知能)の権威がスピンアウトして設立したベンチャーに出資をし、AIとデータの連携による現地での保険引き受けに役立てています。今後さらに広がりが出る可能性がありますから、海外でもチャレンジをしていきたい。

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