2022-04-12

SMBC日興証券相場操縦疑惑、副社長も逮捕で社長辞任は必至

会見を行った、近藤雄一郎・SMBC日興証券社長(右)

「社内調査の結果、売買審査体制、内部管理体制に不備があったことが認められた。法人としての責任は免れない」─こう話すのSMBC日興証券社長の近藤雄一郎氏。

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 SMBC日興証券を巡る「相場操縦疑惑」は2022年3月24日、4人の幹部の逮捕・起訴に加え、法人としてのSMBC日興証券の起訴、エクイティ本部を担当する副社長の逮捕にまで広がった(4月12日には証券取引等監視委員会が刑事告発)。

 3月24日夜に会見した近藤氏は、自身の経営責任について「事態、事実を確認し、真因分析原因を究明して改善策の策定、実行により信頼回復に努めるのが果たすべき責任」として、現時点での辞任を否定しながら、「今後、自分も含めた厳正なる人事処分を行う考え」とした。金融庁による行政処分も検討されている。

 問題となった「ブロックオファー」は、上場企業がある程度のまとまった保有株を売却する際に使われるもの。疑惑の焦点は、取引の期間中に、SMBC日興証券が自己売買で対象銘柄を買った行為が「相場操縦」に当たるか否か。

 3月28日現在、逮捕・起訴された4人と副社長は容疑を否認している模様。地検の見立て通りなら、被告らが違法な取引と知り、その経過も全て社内で記録されているにもかかわらず公然と取引を続けていたことになる。仮にそうであれば、証券会社で働く者としての最低限モラルが崩壊していたということ。

 一方、SMBC日興証券は他社と違い、ブロックオファーを引き受けている事実を執行日前日、多くの社員が情報として共有していた。これが社外に漏れ、投資家の「空売り」を誘発していたと見られている。この時の株価下落で「割安」と見て、被告らが株式を買っていたのではないかという指摘も一部にはある。

 ただ、こうした取引が成り立つこと自体、同社の管理体制に甘さがあったということ。

 いずれにせよ今後はまず、近藤氏の経営責任が焦点となる。さらには公判に入った後、被告らがどのような主張をするのかが注目される。

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