2022-04-27

「融資だけの銀行にはならない!」 横浜銀行頭取・片岡達也の「ソリューション戦略」とは?

片岡達也・横浜銀行頭取(コンコルディア・フィナンシャルグループ次期社長)



行員が育つことが「顧客本位」につながる


 片岡氏は1967年1月神奈川県生まれ。90年に東京理科大学理学部を卒業後、横浜銀行入行。応用数学を専攻していたが当時、大手都市銀行では「金融工学」、生命保険会社は「アクチュアリー」(保険数理人)の面で理系人材を欲していた。

 片岡氏もそうした方面の企業も回ったが、メーカーの研究職で内定が出た。しかし、「この時でなければ、いろいろな企業の話が聞けない」として就職活動を続けた。

 その中の1社が横浜銀行だった。片岡氏は「そこでお会いした方に、すごくご縁を感じた」と振り返る。その先輩行員は別の大学の理系出身だった。そして自身が神奈川県横浜市生まれであることを改めて実感し、「自分の可能性が広がるかもしれない」として横浜銀行に入ることを決めた。

 最初に配属されたのは神奈川県鎌倉市の大船支店。当時は今以上に営業数字への要求が厳しく、「成果が上がらないとなかなか帰れないという雰囲気があった」と笑う。

 仕事は厳しかったが、「みんなでやっていくんだという雰囲気があったし、上司も厳しかったけれども、きちんとフォローしてくれた」と振り返る。

 むしろ今、足りないのはこの「情」の部分ではないかというのが片岡氏の問題意識。「効率化はもちろん大事だが、それを求め過ぎて、当時にはあった大事なものが失われている。全てを解決するのは難しいが、上司の部下に対する関心の持ち方、『育ててやろう』という意識はいつの時代でも必要」

 このことを片岡氏は就任後の部店長会議でも強調。「我々がステークホルダーの中で大切にしなければいけないのは行員。そうしなければお客様にサービスができないし、結果として収益が上がらず、株主に報いることもできない。『お客様本位』であるためにも行員に育ってもらい、モチベーションを上げてもらうことが重要ではないか」

 デジタル化、効率化が進む今だからこそ、改めて「人」の力が大事だという片岡氏。銀行として目指す「ソリューション・カンパニー」への転換を実現するためにも、それを担う「人」の力をいかに高めるか。片岡氏の双肩にかかる責任は重い。

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