2022-05-09

「いま民主主義が危機を迎えている!」3度目の”臨調”を発足させる理由とは?【茂木友三郎:日本生産性本部会長】

茂木友三郎:日本生産性本部会長(キッコーマン名誉会長)

もぎ・ゆうざぶろう
1935年2月千葉県生まれ。58年慶應義塾大学法学部卒業、61年米国コロンビア大学経営大学院で経営学修士課程を修了。58年キッコーマン入社、77年海外事業部長、79年取締役、82年常務、85年代表取締役常務、89年専務、94年副社長、95年社長CEO、2004年会長CEO、11年取締役名誉会長 取締役会議長。14年6月日本生産性本部第7代会長に就任。18年度文化功労者に選ばれる。

3度目の「臨調」発足

 ―― 6月に経営者や労働組合幹部、学識者などの有志が集まり「令和臨調」を発足させます。まずは臨調と茂木さんとの関わりから聞かせてください。

BNPパリバ証券チーフエコノミストが直言する「円安政策の落とし穴」とは?

 茂木 私と臨調との御縁ができたのは、2003年の「21世紀臨調(新しい日本をつくる国民会議)」でした。21世紀臨調では民間から政治改革を提案するだけでなく、それを実行するように働きかけていこうという動きで始まりました。それ以前にも「民間政治臨調」がありましたので、今回は3度目の臨調の発足になります。

 ―― 21世紀臨調のメンバーには東京大学の佐々木毅元総長も加わっていましたね。

 茂木 そうです。他にも早稲田大学名誉教授で元三重県知事の北川正恭先生や東京大学名誉教授の西尾勝先生もメンバーでした。ここに私が加わった4人が共同代表として政策提言を行いました。このときも様々な政策提言を行ったのですが、代表的なものが政権公約(マニフェスト)でした。

 2003年に行われた衆議院議員総選挙においては、政権掌握を競う政党が首相候補と政権公約(マニフェスト)を示し、有権者に政権の選択を迫るわが国初の本格的な「政権選択選挙」となりました。21世紀臨調は、政策本位・政党本位の政治の実現を目指して10年ほど活動し、一区切りつけていたわけです。

 ―― そんな中での令和臨調の発足となったのですね。

 茂木 ええ。なぜ今、3度目の臨調を発足させたかというと、令和の時代に入り、このまま平成の時代から先送りされてきた様々な課題に取り組まなければ、日本の社会と民主主義が危機的な事態を迎えかねないという危機感がありました。

 日本には積み残された課題が山積しており、これを放置していていいのかという問題認識です。そういった問題を解決するために提言をし、それを実現するための合意形成を行う組織をつくるべきだという声が、ここ4~5年高まってきたのです。

 ―― 危機感ゆえの令和臨調の発足ですね。

 茂木 米国やEUなど世界中でポピュリズムが広がってきています。その背景には、国内の経済や社会における課題が、解決されず積み残されていたことがあります。

 課題があったにもかかわらず、それらが解決されないまま放置されていた結果、極端で煽情的な意見や迎合的な意見で世論を煽るポピュリズム的なものを求める動きが出てきたのです。要するに、問題が何も解決されずに残っているならば、強いリーダーによって、世の中を引っ張ってもらった方が良いのではないかという考え方です。

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