新経連で学んだ声を上げることの重要性 ─ AI(人工知能)には、どう取り組んでいきますか?
藤田 今、実業に生かしている部分で言うと、広告の効果向上があります。今まで、クリエイティブ制作は人間の感性に委ねてきましたが、広告事業をやっていると過去の成功事例のビッグデータが得られるので、AIによってクリエイティブの部分も効率化されてきています。
AIの専門部署を持っているのでチャットボットのような事業もやっていますし、インターネットが普通になったように、AIもわざわざAIと言わないぐらい当たり前に使っています。
データを活用して、より効率的にビジネスを展開するところに負けてしまう時代なので、すべての領域でAIを活用するようにしています。
─ ところで、日本には経団連、同友会、商工会議所、それから楽天の三木谷さんが代表を務める新経済連盟があります。藤田さんは新経連のメンバーですが、活動を通じてどんなことを感じますか?
藤田 新経済連盟は今年で設立10年になりますが、参加してきて思うのは、声を上げる重要性です。最近で言うと、政府はコロナの水際対策で鎖国対応を取りましたが、産業界が鎖国解除を求めることで、総理としても「産業界からも言われているので」と動きやすくなる面があったと思います。
それから、何より、成長において重要な規制改革の必要性です。イノベーションが起きると、それを拒む既得権益勢力みたいなものが出てくるので、イノベーションを阻害しない環境にしていくために声を上げることは大切なことだと感じています。
─ 最後に、会社を経営してきて嬉しかったこと、苦しかったことは何ですか?
藤田 そうですね。いま上場企業になって22年目、3ヵ月に1回決算がやってきて、シーズンオフみたいなことや区切りもないので、嬉しいことや苦しいことが断続的に続いています。大きな事業を黒字化させた次の期は、より高い成長を問われてくるので、終わりがないというのが正直なところですね。
▶【ヒューリック会長・ 西浦三郎】の危機管理学オフィス賃貸に加え、介護、 学童保育に注力する理由とは 前期は好決算でしたが、その発表後、株価は暴落していたので何が嬉しくて、何が嬉しくないのかも判断が難しいですね。
─ ロシアによるウクライナ侵攻など、何が起きるかわからない時代ですね。
藤田 そうですね。ただ、過去にもギリシャ危機やリーマンショック、自然災害など、いろいろ経験してきたので、何が起きてもそう簡単には揺らがないようにとは思っています。
─ 大変な時期、藤田さんを支えているものは何ですか?
藤田 責任感は強いほうですが、あまり思い詰めないようにはしています。仕事の一方で、いつも適度に趣味を持つように心掛けているのでバランスは取れているのかなと思います。
─ 最近の趣味は、どんなものですか?
藤田 少し前は麻雀にハマっていましたが、昨年から馬主になり、今は愛馬が走るレースがある週末が楽しみなほどハマっています。仕事に結びつくこともあるので、良い循環になっています。
ふじた・すすむ1973年5月福井県生まれ。97年青山学院大学卒業後、インテリジェンス入社。98年サイバーエージェントを設立して社長に就任。2000年マザーズ、14年東証一部に上場