2022-05-18

ドローンや空飛ぶクルマを社会インフラに!【JAL】が見据える『次世代エアモビリティ戦略』

2021年度に実施した東京都公募事業のドローンを活用した医薬品物流実験



空の知見がない事業者を支える

 1つはJAL自身が次世代モビリティを運航してヒトやモノを運ぶケース。鶴丸を付けたエアモビリティが運送をするというものだ。そしてもう1つが「リスクマネジメントを含めた安全運航管理のプラットフォームを提供する」(村越氏)というケース。後者では「空に関する知見のない事業者を安全な運航管理システムで支える」(久根﨑氏)ということになる。つまり、JALが、“黒子”になるということだ。

 ドローンも空飛ぶクルマも地上10キロ上空を飛ぶ飛行機よりも低い生活空域を飛ぶ。しかも、空飛ぶクルマも将来は操縦士が乗らない遠隔操縦が実現し、上空を多数の機体が多頻度に飛び交う世界が訪れると予測される。さらにこれまで飛行機で2地点を結んで完結していたものが、次世代エアモビリティと結びつくことで、「毛細血管のように細かな交通ネットワークを形成できる」(村越氏)。

(C)Volocopte

東京都内を飛行する「空飛ぶクルマ」のイメージ

 だからこそ、安全は避けて通れない命題となる。法令に則って安全に運航するための技術やノウハウを持つ同社は、人間は必ずミスをするという前提の下、「状況認識や冷静な判断力、コミュニケーションなどのノンテクニカルスキルでエラーを未然に防ぐ知見もある。緊急事態発生時の対応も含めて貢献できる領域は大きい」(同)。

 ただ、社会受容性という面で大きな懸念は残る。落下の不安や騒音を懸念する国民が多いのも事実。どのくらいの高度をどのように飛ぶか、悪天候時の対処、事故時の補償といった議論も求められる。その点、国や行政、民間を巻き込んだルールづくりが不可欠だ。

 また、次世代エアモビリティがJALの収益面で貢献するには長期的な目線が必要だ。コロナ禍で苦境が続く中、将来を見据えた仕込みを続けて行けるか。JALの本気度が試されることになる。

Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事