2022-05-29

ウクライナ国民の「祖国を守り抜く」という覚悟、それを受けた日本の生き方は?【私の雑記帳】



慶應義塾長の思い


 核戦争、環境破壊、インフォメーション・テクノロジー(IT)の扱い。人類の行く末を左右するこの〝3つの危機〟にどう対応していくか。

 世の中の哲学者、歴史学者、そして科学者を含め、「世の知見には重みがあるし、大学も含めて提言していかねばならないし、その役割があると思います」と語るのは慶應義塾長の伊藤公平さん。

 コロナ危機、ロシアのウクライナ侵略という問題を見ても、容易な解決策は見当たらない。

「コロナにしても、波状攻撃が続いています。中途半端に、ちょっと頑張れば大丈夫みたいなことを言うのは間違っています」と伊藤さんは現状認識を示し、大学の知見を活かしていくときと語る。

 では、大学の役割と使命とは何か?

「わたしは理系で、テクノロジーで物事を新しくするという生き方をしてきました。テクノロジーの発展の中でも正しいことをやっていこうと思っているし、そういう立場であるんです。経済的にもテクノロジーの発展が必要なんですが、その中で大学の役割というのは、これだけ蓄積されているものを必要なときに瞬間的に出していく。これは実学ですよね。それを今やっていると。何のために今まで、自分たちが知識を蓄積してきたかということです」

 科学技術に基づく経済の発展にしても、はたまた外交という問題にしても、国の力だけでは解決しない問題の広がり。ここは民間の知の拠点である大学の役割と使命感の発揮のときでもある。

「未来への義務。生きること、働くことは未来への義務であり、未来に対して、われわれが今何を成すか、次世代に対して義務があるということです」と語る伊藤さんだ。

丸紅・柿木さんの『覚悟』

 大手商社の2022年3月期決算は空前の最高益決算となった。

 三菱商事9375億円、三井物産9147億円と1兆円に迫る勢い。伊藤忠商事8202億円と続き、前々期は銅の特損を計上して赤字だった住友商事は黒字転換し、4636億円、丸紅は4243億円となった。

 しかし、各商社首脳は全く浮かれていない。資源高騰下での好決算であり、その反動は必ず来るからだ。

 その辺の各商社の〝心の内〟は本誌・松村聡一郎記者の2022年6月8日号レポートを参照していただきたい。

 2019年春に社長就任し、財務体質の改革など社内改革を進めてきた丸紅社長・柿木真澄さんは「既存ビジネスの深化を図り、新しい事へのチャレンジを常にやっていきたい」と語る。

 そしてDX(デジタルトランスフォーメーション)を含めて、新しい領域へのチャレンジを続けるのだが、「その努力はまだまだ」と気を引き締め、「覚悟と勇気、そしてそれなりのエネルギーが必要です」と強調。

 ウクライナ問題で今、国と国が分断されがちな状況。そこで見直されるのが本来、国と国、そして人と人をつなぐ商社の機能。それが遺憾なく発揮される日が来ることを願いながら、商社の使命を果たしていきたいという柿木さんである。

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