2022-05-27

【熱狂なき好決算】 総合商社が打ち出す「次の一手」

再エネの拡大など、商社の新事業開拓が続く(写真はイメージ)

最高益更新が相次ぐ!


 三菱商事の2022年3月期連結業績(純利益)は前年同期比5倍強の9375億円、三井物産は同3倍弱の9147億円、伊藤忠商事は同約2倍の8202億円……。資源高などを背景に、総合商社の決算は最高益更新が相次いだ。

 このように数字だけを見れば、空前の好決算となった商社業界。だが、各社首脳の表情は緊張感に満ちている。「地政学リスクの顕在化、サプライチェーン(供給網)の混乱、インフレ高進、各々にとってポジティブな影響、ネガティブな影響双方が混在している」(三井物産社長の堀健一氏)からだ。

 中でも、足元で不透明感が増しているのが、混迷を深めるロシア・ウクライナ情勢。中でも、極東ロシア・サハリン沖の原油・LNG(液化天然ガス)開発事業「サハリン1」と「サハリン2」には商社各社が出資している。

 原油を採掘するサハリン1には伊藤忠商事と丸紅などが間接的に出資。LNG開発事業のサハリン2には三井物産が12・5%、三菱商事が10%を出資。すでにサハリン2に3割を出資する英シェルが撤退を表明、サハリン1に3割を出資する米エクソンも撤退の方針を示しているが、日本政府はロシア産石油の輸入を段階的に削減・停止するものの、サハリン事業については継続する方針。

 商社各社も難しい対応を迫られているが、各社から聞こえてくるのは、日本政府の意向を踏まえつつ、エネルギー安定供給に対する責任だ。

「パートナーや政府とよく議論しながら進めていく。再エネだけではエネルギー全てをカバーできない。トランジッション(移行期)においてはLNGも重要な役割があるので、供給責任を果たしていく」(三菱商事社長の中西勝也氏)

「日本政府や事業パートナーを含むステークホルダーと協議を続けている。今後もエネルギー安定供給の観点も踏まえ、適切に対応していく」(堀氏)


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