輸入金額約50兆円を内需に!
―― 自国で再生可能エネルギーを賄う方向に持っていくと。
小宮山 そうです。特に、日本は森林という未開発の膨大な資源を持っています。おそらく石油から物を作る時代から木質から物を作る時代に入るでしょう。金属はリサイクルになります。金属はなくなりませんからリサイクルで回せば良いのです。
食糧だって自給できます。日本では耕作放棄地が増えていますから、これを真面目に活用することができれば、日本が毎日食べていける食物を作ることができるはずです。もちろん、日本のサクランボやいちごを海外に向けて高く買ってもらうこともできるでしょう。
ですから、石油や鉄鉱石を海外から買うということもなくなります。そう考えると、日本が今まで輸入していた産業が、地方の産業に生まれ変わるということです。
―― 日本の潜在力をもう一度掘り起こす時代になった?
小宮山 その通りです。再生可能エネルギーなどは、どう考えても地方の産業です。林業だって地方の産業ではないですか。日本が輸入する化石資源や食糧などを含めた輸入金額は30兆円、産業連関的に見れば約50兆円です。これが内需に代われば、相当な産業に生まれ変わります。
―― ビジネスの中身も大きく変わるということですね。
小宮山 地方が活性化すれば、新たにスーパーマーケットや床屋さんなども必要になったりする。50兆円とは500万人から550万人の雇用を生む計算になります。それだけの雇用が地方に生まれるということになれば、地方に行きたいという人もたくさん出てくるでしょう。地方再生って、そういうことですよ。そうすると、もっと日本全体がバランス良い国になるはずです。
―― そういった問題意識を以前から強く持っていましたね。
小宮山 「課題先進国」という言葉を使った2007年頃から考えていました。高齢社会の問題にしても、長生きできること自体は良いことです。ただ、長く生きれば良いのかというと違います。健康寿命を延ばすことが重要です。今ではいわゆる寿命と健康寿命の差が10年近くありますから、健康寿命を延ばそうということです。
以下、本誌にて