2022-06-14

【株価はどう動く?】米ナスダックはいつ底入れするか、日本の株価が上昇するのはなぜか?



 こうした動きから見ると、NYダウはまだ下落し始めたばかりで、本格的な下落はこの後となります。ただ、NYダウはコロナショックの安値から、22年1月5日の3万6952ドルの一番天井までの上げ幅の3分の1押しが約3万ドルです。直近の安値が5月20日の3万635ドルですから、足元では3万ドル近辺で下げ止まっています。

 今後、3万ドルを割って下げ止まらないようであれば、ナスダック並みに下落する可能性がありますが、その行方はまだ、見極めるのが難しい状況です。

 結論からいえば、NYダウもナスダックも当分「おやすみ」ということになります。当面は下がっては戻り、戻っては売られという展開となり、安値を切り下げていくか、一定のゾーンで揉み合う展開が予想されます。

 そうした状況下でも、日経平均株価は、前回も指摘したように直近の安値、3月9日の2万4681円を下回っていません。2万6000円台、2万7000円台で揉み合うということになると逆三尊、トリプルボトム形成中と言えますから、日柄調整をして、早ければ6月相場入りから上昇してくる可能性が高い。

 その背景は、第1に日本を始め、世界の金融緩和は簡単には終わらないということです。日本銀行は緩和姿勢を継続していますし、引き締めに入るとしていたECB(欧州中央銀行)も、ウクライナ情勢を見ると、そう簡単にはいかないでしょう。

 私はこれまで「マネーバブル相場」で株価が上昇すると説明してきましたが、野村総合研究所研究創発センター主席研究員のリチャード・クー氏は5月のレポートの中で、6月からFRBが量的引き締めをしても、完全にマネーの過剰を回収するには3年かかると指摘しています。つまり、3年間マネーバブル相場が続くということです。

 第2に、ウクライナ戦争を受けてロシアと国境を接する欧州諸国は、その侵攻に備えて臨戦態勢に入っています。

 そうなると民生用より軍需用の生産に重点が置かれますから、民生用の物資の不足が予想されます。それを誰が供給するかといえば米国、日本です。日本でこの特需ブームが、早ければ今年後半から来年にやってきます。

 第3に、日本は「大円安時代」に突入しています。多くの人が「物価が上がって困る」と言っていますが、実はその影響は限定的と言っていいでしょう。足元の物価上昇の要因はエネルギー価格ですが、世界的なものです。一方で日本にとって円安のメリットの方が大きいのです。

 他にも訪日外国人客の復活、三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所長の嶋中雄二氏が指摘する「ゴールデンサイクル」が23年にも到来する可能性があること、7月の参議院議員選挙など、日本の株価が上昇する材料が揃いつつあります。

 ただ、日本の株高が実現するには、岸田政権が貯蓄から投資へ、「資産所得倍増プラン」を実行するかどうかにかかってきます。

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