2022-06-29

【国土交通省】政府統計の信頼回復へ 書き換え再発防止策を議論

国土交通省の「建設工事受注動態統計」書き換え問題に関し、同省が統計人員の増強や職場風土の改善などを柱とする再発防止の骨子をまとめた。18年に発覚した厚生労働省の「毎月勤労統計」の不正に続く不祥事で、政府統計に対する不信は再び大きく高まった。失われた信頼の回復は、これらの再発防止策が実際に効果を挙げるかに懸かっている。

 受注動態統計は国内総生産(GDP)の推計に活用され、国が特に重要だと位置付ける基幹統計に当たる。昨年12月、国交省の指示に基づいて都道府県の担当者らが全国の建設事業者から届いた調査票を書き換えていた問題が発覚した。結果として数値を二重に計上され、13年4月分以降のデータが過大に推計されていた。

 発覚後に同省が設置した検察OBらによる検証委員会の調査では、中堅職員から改善を求める動きがあったにもかかわらず、業務過多を理由に周囲が真剣に取り合わなかったことが判明。検証委が今年1月に公表した報告書は原因の一つとして幹部らの「責任追及を回避したい意識」があったと断じている。

 5月13日にまとまった骨子案は「速やかに取り組む事項」として、人員の増強や若手を交えたグループディスカッションの定期開催を列挙。同省はすでに人員を10人程度補充した他、若手の統計専門家をアドバイザーとして起用するなどの取り組みに着手。骨子案は中長期的な課題として、問題や不正を発見した職員に高い人事評価を与える仕組みづくりなども挙げた。

 不正を認識しながら漫然と前例踏襲が続いた組織風土を変えるには、大胆なリーダーシップが欠かせない。「自ら先頭に立って公的統計の信頼を取り戻すべく努力していく」と語った斉藤鉄夫国交相の本気度が問われそうだ。

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