2021-01-10

オリックス・宮内義彦シニア・チェアマン「コロナ後を見据え、今こそ新たなことへの挑戦を」

宮内義彦・オリックス シニア・チェアマン

── オリックスシニア・チェアマンの宮内義彦さんは長い間規制改革に携わり、新事業開拓を進めてきました。コロナ後を見据えた経済人の役割とは?

 宮内 コロナ禍はいつ終わるかわかりませんが、いつかは終わります。この事態が続く前提で物事を考えたら間違います。コロナ禍が終わった時にどうなるかを考えた方がいい。

 それまではとにかくキャッシュフローさえしっかり確保しておけば持ちこたえられます。また、キャッシュフローに余裕のある会社は、新しいことに取り組むべきです。今、ビジネスの種を撒いておけば、道のりは厳しくとも実がなるのではないでしょうか。世の中が激変していますから、やるべきこと、チャンスは山のようにあります。もちろん、大きな失敗をしたら経営者としてはアウトですが、コロナ禍だからといって何もしないのは論外だと思います。

 ── 米大統領選を経て、世界はどう変わると見ますか。

 宮内 トランプ大統領が「自国第一主義」で分断した世界を、もう一度繕っていくのが新大統領の仕事だと思います。

 また、今後は米欧グローバリズムと中国グローバリズムとに鮮明に分かれていくと思います。ただ、地球温暖化など利害が一致する事案や問題については中国とも協調する必要があります。

 ── 日本の立ち位置をどう考えますか。

 宮内 中国は市場として無視できませんし、地政学的にも、なるべくケンカをしないことが一番です。日本は中国に侮られないことが最も大事で、日米同盟を基軸としながら、自ら防衛力を高めることも必要です。

 ── 今後の財政政策もカジ取りが難しくなります。

 宮内 日本は経済・財政政策を見直す必要があります。資金需要がなく、金融緩和が効かなかった。増える需給ギャップは財政で埋めるしかありません。

 そして公共投資ではなく、GDPの6割を占める消費を喚起し、家計を潤すことが必要です。賛否はありますが「ベーシックインカム」のような考え方を真剣に議論すべきではないでしょうか。

 ── 21年は日本にとって転換期になりそうですね。

 宮内 1年後には状況は変わっているでしょう。ポストコロナでは、観光やレジャーなど、抑えつけられていた需要が爆発的に回復すると思います。

 デジタル化の遅れに関しても、DX(デジタルトランスフォーメーション)は考え方の転換が必要です。従来の日本は、今までの仕事をシステム化させるテーラーメイドでした。そうではなく、システムができることに仕事を合わせる形にしなければ定着しませんし、コスト高になります。経営的な目でシステムを見ることができるかが問われます。

Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事