2022-07-13

【衆議院議員・長島昭久】「国を守るための抑止力の充実へ。それは国家の意思を示すという意味で重要」

長島昭久・衆議院議員

ながしま・あきひさ
1962年神奈川県生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。88年同大学大学院法学研究科修士課程(憲法学)修了。90年から3年間石原伸晃衆議院議員の公設秘書を務める。97年ジョンズ・ホプキンス大学大学院修了後、米国外交問題評議会研究員(アジア安全保障研究)。2003年衆議院議員。09年防衛大臣政務官(鳩山由紀夫内閣)。11年首相補佐官(外交安全保障担当、野田佳彦内閣)。12年防衛副大臣(野田第3次改造内閣)。17年希望の党政調会長。2021年衆議院拉致問題特別委員長。

サイバー攻撃を受けても反撃できない法規制

 ─ ウクライナ危機を通じて、日本の安全保障に対する考えを聞かせてください。

拓殖大学国際学部教授・佐藤丙午「専守防衛はいかに残酷な政策であるかが分かった」

 長島 昨年8月、あるシンクタンクで台湾有事のシミュレーションを行いました。モデルになったのは2014年のロシアのクリミア侵攻。衝撃だったのは、サイバー攻撃を受け、電力や金融のシステムが次々にダウンしていくという光景でした。

 ですから、まずはサイバー攻撃から我が国の基幹インフラを守ると同時に、攻撃を受けた後に、どれだけ早くサイバー攻撃の発信地を特定して無力化し、基幹インフラを復旧させるかが重要になります。

 電力や港湾、空港、道路、鉄道といった基幹インフラは生活インフラであると同時に、自衛隊や米軍も依存しているインフラです。

 こういったインフラを守るためには、潜在的な攻撃国のネットワークを常時監視する「積極サイバー防護」を可能にする法整備が急務となります。我が国では現状、不正アクセス行為の禁止等に関する法律(不正アクセス禁止法)によって、何人も相手のサーバーに入り込んで発信源にアクセスすることが禁じられている。海外の潜在的な攻撃者に対して当局が監視することも許されないのです。

 ─ サイバーの防御態勢が貧弱だということですね。

 長島 ええ。相手のサーバーを常時監視できる体制を構築できないと、攻撃を受けても適時に反撃し相手を無力化することができません。これでは米国はじめ、有志国とのサイバー分野での連携もできません。そして、早期にインフラを復旧すること。この2つが、物理的な攻撃を受ける以前に極めて重要です。

 ─ 自分の国は自分で守る。このことが基本原則だと。

 長島 はい、当然のことです。ただ、日本は戦後74年を経て、自分の国のために戦うという発言そのものが忌避されてきたところがあります。しかし、この敗戦のトラウマを乗り越えていくときを迎えたのではないかと私は思っています。

 その意味で、専守防衛の考え方については、少なくとも再定義が必要です。先制攻撃を慎むという意味での専守防衛は当然です。しかし、反撃のための手段も態様も「必要最小限度」という縛りがかかっている点が問題です。攻撃を受けて、ここまでしか反撃できませんなどというわけにはいきませんね。全力で押し返さなければ、国民も領土も守れません。

 それはミサイル攻撃でもサイバー攻撃に対する反撃でも同じことです。

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