2021-01-18

三井物産新社長に堀専務が昇格 「覚悟を決めて受ける!」

安永竜夫・三井物産社長と次期社長の堀健一専務(左)

資源依存体質をどう変革していくか?



「地政学リスクの高まり、コロナ禍での感染対策と経済対策の両立をどう図るかということで、事業環境の変化が加速度的に大きくなってきている。そういうタイミングで、新しいリーダーシップをもって三井物産を率いてもらおうと決意した」

 こう語るのは、三井物産社長の安永竜夫氏。

 三井物産は4月1日付で次期社長に専務の堀健一氏が昇格する人事を発表。安永氏は会長に就任する。会長の飯島彰己氏は6月の株主総会終了後、顧問に就く予定だ。

 2015年に社長に就任した安永氏。当時はまだ54歳と若く、32人抜きの社長抜擢として話題になった。ただ、就任1年目の16年3月期業績では、資源価格の下落で創業以来初の赤字を計上。以来、約2300億円を投資してアジア最大の民間病院グループIHHの筆頭株主となるなど、ヘルスケア事業を強化。赤字が続いていたブラジルの穀物事業から撤退するなど、構造改革を進めてきた。

 安永氏は「これまで非資源分野の強化、既存事業の立て直しに注力してきた。会長になると業務の執行を離れるので、今後は自分が経験したことを若手に伝え、課題解決能力の高い経営人材を育てていきたい」と語る。

 堀氏は1962年1月生まれの59歳。84年慶應義塾大学経済学部卒業後、三井物産入社。

精密化学品部の出身で、商品市場部長やIR部長、経営企画部長などを歴任し、2014年に執行役員就任。17年に常務、19年から専務に就いていた。

 今期(2021年3月期)見通しも1800億円の最終利益のうち、金属資源・エネルギー分野が1200億円と、全体の3分の2を占めるなど、他商社に比べて資源ビジネスへの依存度が高い。それだけに商品市況に業績が左右されることが多く、今後も同社の大きな課題だ。

 そうした中、「覚悟を決めて受けることにした。今は連結4万4千人の社員とどうやって考え方を共有していけばいいのか考えている。わたしは派手な感じではないが、これまで仕事をしてきて火中の栗を拾いに行く場面が結構あった。社外の人材を含めて、いいチームを会社中につくっていきたい」と語る堀氏。

近年は三菱商事や伊藤忠商事に次いでの3位に定着した感もある三井物産。“資源商社”と言われる同社からどう脱皮していくのか、混乱、混迷の時代にあって、堀氏の覚悟が問われている。

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