2022-08-09

【最高倍率111倍の部屋も登場!】「晴海フラッグ」になぜ今、人気が殺到するのか?

「晴海フラッグ」の完成予想図



 今後のマンション市況をどう見るか。不動産市場に詳しいニッセイ基礎研究所主任研究員の佐久間誠氏は「マンション価格が右肩上がりに上昇する局面からは変わってきたが、だからといって下落するかというと、そうなりにくいのが現状」と指摘。

 コロナ禍にあって、マンション価格上昇につながる3つの要因が指摘されていた。第1に在宅勤務の普及で、それまでより広い家を求めるなど消費者の住宅需要が高まったこと、第2に建築関連コストの上昇、第3に金融緩和の継続、低金利で消費者が住宅購入資金を確保しやすくなったことが挙げられる。

 ただ、第1の要因は在宅勤務を中心とする大企業が出てくる一方で、多くの企業ではオフィスに人が戻りつつある。また、第3の要因を見ると、欧米の中央銀行が利上げに動く中、日本銀行は緩和姿勢を継続しているが近い将来、引き締めに向かうだろうと見られている。ただ、第2の要因だけは資源価格高騰、為替の円安などを受けて価格上昇が加速している。

「数年前から、特に東京都内の物件が一般の実需層が購入できる価格ではなくなっていることが指摘されてきていたが、かなり厳しいところまで来ているのではないか」(佐久間氏)

 だが、マンションを取り巻く環境を見る限り、価格は横ばいか、やや低下という程度ではないかと見られている。

 今の都内のマンション価格の状況を見ると、例えば山手線の内側で、ファミリー層が買うような間取りの新築物件で1億円を下回ることは、ほぼない。それでも、そうしたマンションが売れてきた背景には、従来のような士業や土地を持つ資産家に加えて、共働きの「パワーカップル」と呼ばれる世帯年収1500~2000万円の層が低金利を背景に参入したことがある。

 また、供給要因もある。かつて、首都圏のマンション供給戸数は1999年から2005年まで連続して年間8万戸を上回ったこともあったが、21年は約3万2000戸というタイトな状況。首都圏に限って言えばマンションの供給を購入希望者が上回っていると言えるが、価格高騰が続く中で、それもどこまで続くか不透明。

 晴海フラッグの価格は、業界内では「2015年の目線では高く、18年以降の目線では安い」と言われる。その意味で、この物件は日本の首都圏マンションの市況を図る上で、一つの指標となる。混沌とする経済や金利動向を睨みながらの販売が続く。

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