2022-08-11

東急百貨店本店跡地に 【東急】が新たなランドマーク建設へ

東急が進める「渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクト」(外観イメージ、Image by Proloog, Copyright Snøhetta, 提供:東急)

東京・渋谷の街のにぎわいが広がる。東急百貨店本店が2023年1月31日に営業終了し、27年度の竣工を目途に複合施設を含む再開発「渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクト」が始まる。

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 東急と東急百貨店に加え、LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)グループが設立した不動産開発投資会社のLキャタルトン・リアルエステート(LCRE)がパートナーシップを締結し、再開発事業に取り組む。

 新たな複合施設は高さが約164メートル。駅周辺と違って百貨店の周辺に高層ビルは少なく、「渋谷駅から『SHIBUYA109』方面に目を向けると、ひときわ目立つ高層ビルがそびえたつ」(東急関係)という。低層階には商業施設が入居し、中層階はホテル、上層階は賃貸住
宅にする計画だ。

 同エリアは「渋谷駅から少し離れた場所にあり、地元の人々が買い物や食事で訪れる商業の中心街。大学や緑地も多い」(同社渋谷開発事業部プロジェクト推進グループ事業推進担当課長の杉本里奈氏)という特徴を生かし、低層階には吹き抜け、中層階には屋上庭園を設ける。

 東急グループにとって、これまでの渋谷再開発とは一線を画するのはオフィスがない点だ。駅周辺のビルでは大半をオフィスが占めていたが、渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクトでは隣接する複合文化施設「Bunkamura」と合わせ、地元住民の生活に対応すると共に、
ポスト・コロナを見据えた訪日外国人客の来訪を視野に入れる。「Bunkamura」も23年4月上旬から27年度中を目途に休館し、装いを新たにして再開業するなど、文化・芸術の色彩は残す。

 また、新たな複合施設で目玉となるのがホテルだ。香港、中国、米国で個性的なホテルを展開するスワイヤー・ホテルズが入居。客室数は100室前後になる見込みだ。北京や香港、上海などで展開するコンテンポラリーラグジュアリーブランド「ザ・ハウス・コレクティブ」が日本に初進出する。クリエイターやエグゼクティブに人気で、東急にとっては新たな海外のパートナーとなる。

 コロナ禍で東急電鉄の通勤客などの減少は続いており、本業の回復は道半ば。ホテルもダメージを受ける。そんな中でも「グレーター渋谷構想」を掲げる東急は渋谷の更なる価値向上に向けて試行錯誤を繰り返す。渋谷は膨張を続ける。

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