2022-08-22

【キッコーマン名誉会長 ・茂木友三郎のリーダー論】リスクを取らなければ、新しい価値は生まれない

キッコーマン・茂木友三郎 名誉会長

全ての画像を見る


もし、50年前の決断がなかったならば…

 もし、50年前の現地生産化がなく、国内だけでの事業にとどまっていたならば、どうだったのか?
「(その当時の事業内容を受け継いだだけならば)今のうちの利益の10%強、15 %位の水準だと思います」
 では50年前、どうやって、米国ウィスコンシン工場建設を実現させていったのか?

「あの時は、親父(茂木啓三郎氏)が社長で、わたしが担当者で提案したんです」
 担当者として、米国での現地生産化に自信はあったのか?
「わたしは担当者でいろいろと計算していました。当時の資本金を上回る金額をかけての投資ですから、相当に計算し尽くしていました。利益を出せると思っていました」

 しかし、直後に予期せざる石油ショックが発生。原料は上がり、パッケージ(包装材)も高騰し、事態は急変。
「商品を値上げしても、コスト高に追いつかない。赤字にもなり、針のムシロでしたね」
 社内でも米国工場建設そのものに批判の声をあげる者もいた。茂木氏自身も体調を崩して入院した。
 そういう時も、茂木氏は「状況が落ち着けば利益は出ます」と関係者を説得して回った。
 リスクを取ることの大切さ。もっとも、新たな領域に踏み出すときは、徹底した調査、市場分析を尽くした上での投資ということだが、予期しない要因が発生する可能性もあり、リスクは常にあるということ。それを踏まえた上での針路の選択であり、決断だということである。

【編集部のオススメ記事】>>【日本取引所グループCEO・清田瞭】の日本企業の稼ぐ力をもっと!

本誌主幹 村田博文

Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事