2022-09-27

【日中国交正常化50年】早稲田大学・西原春夫元総長が語る隣国・中国との向き合い方とは?

西原春夫・元早稲田大学総長



AI時代の到来で変わる構造

 ─ 一概に民主主義か専制主義かという対立構造で状況を見極め切れない時代になったと。

 西原 そうです。経済機構もこれまでは個々の企業が自由に活動した方が経済の効率が良かったのですが、そこからは貧富の格差の拡大や大気汚染など自然破壊を助長するといった弊害が生まれました。

 国による総合的かつ体系的な運営がAIによって完璧にできるようになると、その弊害も見事に解決することができるようになります。

 ─ そういったことを中国側に提言したのですね。

 西原 そうです。世界の中で来るべきAI時代の経済政治機構に少なくとも形の上で一番近い機構を持っているのが中国であると。中国は社会主義の現代化を進め、その延長線上でマルクスやエンゲルスが夢見て果たせなかった社会の樹立を目指していると思うのですが、実は彼らの時代には人知が及ばなかったために、それは実現できないことだったのです。

 しかし今はそれができるようになる有利さを中国は歴史上初めて手に入れていると伝えました。こんな見方は中国人誰もが持っていなかったようですね。

 ─ まさに中国自身が国として変わることができるのではないかという指摘ですね。

 西原 はい。私はAIの発達は人類絶滅の危険をはらんでいるけれども、人類が全力を挙げてこれを克服した場合、人類史上、初めて理想社会の実現の条件が与えられると考えています。

 習近平国家主席は現代化の先の(マルクスが当時描いた共産主義とかなり違う)「理想社会」の実現までを既に視野に入れていると私は見ていますが、AIの発達との関連を考慮に入れると、その筋道はもっとはっきりしてくる、その指摘に党の大物は驚き、注目したのでした。

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