2022-10-03

【移民問題】日本国際交流センター・毛受敏浩氏が直言「日本は日本語教育を始め、必要な手立てを打っていない現実を」

毛受敏浩・公益財団法人日本国際交流センター執行理事



 

来日外国人二世の教育をどうするか?


 ─ 親も子も日本語ができないとなると、かなり生活が難しくなりますね。

 毛受 そうなんです。義務教育でないこともあり、子供では学校を辞めたあと不登校のまま年齢を重ねる話も聞きます。

 2年前から、我々は住友商事のご協力を得て、外国ルーツの青少年を支援するNPOに社員を派遣し、学習指導などを行う事業を開始しました。参加した社員の皆さんからは大好評を得ています。また生団連(国民生活産業・消費者団体連合会)の参加企業とは外国人の教育、就職問題について勉強会を開始しました。

 しかし、留学生のことは知っていても、日本生まれ、育ちの外国ルーツ青少年については、「日本にそういう人達がいるんですか」という反応で、まだ現実が知られていないということを痛感します。

 そうした外国人の子供達は今後も増え続けていきます。途中から日本に来た子だけでなく、日本生まれの子供も日本語の読み書き能力が低く、教科が理解できないままに卒業してしまう例も見聞きしてきました。

 先程、コロナ禍で最初にクビを切られたのは外国人という話をしましたが、大人も日本語能力の低さから再就職に非常に苦労しています。

 ─ 日本人が外国に行く際もそうですが、それ以上に日本に来た外国人にとって言葉の壁は大きいと。

 毛受 ええ。私は日本に来た外国人に関して3つの大きな問題があると考えています。第1に日本語で、日本からすれば彼らへの日本語教育をどこまで徹底するか、あるいは「やさしい日本語」を社会に広げるかどうかということです。第2に企業として外国人を単なる調整弁ではなく日本人と同じような待遇で迎え入れることができるか、第3に来日二世の子供達の教育を日本人並みにできるかどうかです。

 日本には、今これらが欠けていますが最重要です。この環境が整わないことには貧困のサイクルになってしまいますし、日本が「選ばれる国」になるという目標からすると、相当遠い話になってしまいます。

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