2022-10-03

【移民問題】日本国際交流センター・毛受敏浩氏が直言「日本は日本語教育を始め、必要な手立てを打っていない現実を」

毛受敏浩・公益財団法人日本国際交流センター執行理事



 

言語習得に対するドイツの考え方


 ─ 国の有り様、生き方の本質に関わってくる課題ですね。

 毛受 人口減少の対応として外国人受入れのテーマ自体が、薄れつつありますから、私自身強い危機感を持っています。

 私は文化庁の文化審議会で日本語教育小委員会の委員を務めていますが、欧州の国々は、外国人に対してその国の言語を教えるのは、国の責任でやっています。

 例えば、ドイツでは政府の責任で600時間のドイツ語を教えており、さらに初歩レベルのドイツ語ができないと家族も母国から呼び寄せできないと、語学重視の姿勢が徹底しています。「生活、仕事の安定は語学力から」との認識があると感じます。

 ─ 日本は日本語ができなくても受け入れていますね。

 毛受 そこが大きな違いです。日本はこれまで外国人で定住するのは例外との認識で、日本語能力を十分に問わず受入れ、来てからも政府は日本語の学習を地域のボランティアに依存してきました。日本語教育推進法ができましたが、勉強したい人には日本語能力を身につける機会をできるだけ提供するというスタンスに留まっています。

 ─ ドイツは、その外国人と共生するためにドイツ語を学んでもらっているのに対し、日本は意思がはっきりしていない。

 毛受 ええ。最近、文化審議会で、外国人の日本語レベルを欧州並みに高めるには、400~500時間が必要だという数字が出ました。しかし、これは実現可能か。多くの外国人は朝から晩まで働いていて時間がありません。

 ですから、雇用をしている企業が、きちんと外国人のために日本語学習の機会を与えない限りは勉強できません。しかも、言語学者の方が言うには、日本に来た最初の期間にしっかり日本語を教えることが大切だと。しばらく経つと生活という現実に押されて学ぶ意欲が落ちてしまうのです。

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