2022-10-06

【三菱総研理事長・小宮山宏】2050年の最大産業は、『人財養成産業』に

三菱総研・小宮山宏理事長

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2050年の最大産業は「人財育成産業」

 時代の転換期にあって、国の意思、役割をどう考えるか?
「結局、GDP(国内総生産)というものから、少し考え方を変えないといけないと。大航海時代(15世紀から17世紀にかけて)の前は、アジアのGDPが全世界の60%を占めていたんですよ。その頃、1人当たりの生産というのは、ほとんど農業生産だったわけです。だからほぼ人口に比例していたという話なんですね。それで(18世紀からの)産業革命で一気に今のG7(主要先進国7か国)あたりの国々がトータルのGDPで伸びていった。一番花開いたのが40、50年前ですよ」

 先進国が優位に経済を動かしてきたが、途上国がどんどん伸びてきた。1人当たりのGDPで米国と中国は5対1位だが、これもどんどん接近している。
「そうすると、もう1回アジアの比率が60%になるかどうかは分かりませんけれども、アジアが例えば50%になって、その他が50%になるというのは、必然の流れです。大体、人口比例になりますよ」

 そうすると、中国の力はますます強くなるのか?
「強くなりますよ。人口も多いし、人口で掛け算すればね。だけど、中国には別の弱さがあ
る。課題になるのも人口ですし、人口動態の話は中国にとって大変なものです。だから人口
の多い国が一方的に強くなるなんて考える必要はない。そのとき大事なのは人財です。そういう状況で、どうやって国家を強くするかということは、結局、人の養成に関わってきます」

 小宮山氏が続ける。
「僕は、2050年の最大産業は、教育というか人財養成産業だと思っています」
 こうした時代の転換期にあって、『人の養成』を進めていく上での基本軸とは何か?
「知・仁・勇というか知・情・意ですね。僕に言わせると、東大の時に繰り返し言った『本質を捉える知』、『他者を感じる力』、そして『先頭に立つ勇気』ですね」
 新しい時代を切り拓くのはやはり「人」である。

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本誌主幹 村田博文

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