2022-11-08

エネルギー確保と脱炭素の両立をいかに図るか? レノバ社長・木南 陽介

レノバ社長 木南 陽介 Kiminami Yosuke

ウクライナ危機は 長期化するという前提で…

─ コロナ禍が長期化し、ロシアによるウクライナ侵攻も9カ月が経とうとしています。こうした状況を木南さんはどのように受け止めていますか。 

 木南 当初、コロナ禍で一番心配したのはサプライチェーン(供給網)でした。ヨーロッパや中国など、アジア各国からモノは来るのか、心配が尽きませんでした。また、アジアを中心とする再生可能エネルギーの現場に出向くことができませんでしたので、しばらくは非常に苦労しました。 

 しかし、コロナもすでに3年近くになりますので、今後、仮にコロナの第8波が来たとしても何とかなりそうだという対策と言いますか、レジリエンス(強靭性・柔軟性)というのは試行錯誤の末に大分整ってきたと思います。 

 やはり、一番懸念しているのはウクライナ問題ですよね。引き続き天然ガスの高騰が世界経済に重くのしかかり、特に、日本のように資源を海外からの輸入に頼っている国は、非常に大きな宿題が残っていると。 

 当初は戦争も早めに収束する可能性があると言われていましたけど、いまは長期化するという前提でエネルギー業界は動いていると思います。 

 ─ 本当にウクライナ危機によって、天然ガスや原油などのエネルギー価格が軒並み上昇しているんですが、再エネの位置づけはウクライナ危機によって変わったのか、変わっていないのか。 

 木南 ウクライナ危機を受けても、ますます再エネの使命は重くなっているのではないでしょうか。もちろん、2月のウクライナ侵攻以降、当面のエネルギー確保のため、各国がしばらくは石炭を使わなければならないとか、原子力を増やそうという動きがあります。 

 ただ、やはり、どの国も基本的には再エネをエネルギー戦略のど真ん中に据えて、これを何年で倍増するとか、とてもアグレッシブな政策目標を打ち出しています。日本も東日本大震災以降は急激に再エネ比率を増やしてきて、現在は20%を超えました。 

 しかし、英国やドイツが40%くらいになっていることを考えたら、日本はまだ遅れていると思いますので、これから挽回していく必要があると思います。 

 ─ 欧州とは倍近い開きがあるんですね。 

 木南 ええ。特にドイツは新政権が10年以内に自然エネルギーの割合を倍増させると言っています。倍増ということは、すでに40%ありますから、80%にすると。これまでの拡大スピードを3倍にして、2030年に21年比で太陽光を約3倍、陸上風力を約2倍、洋上風力を約4倍にすると言っています。 

 たった9年でここまで増やすというのは、非常に野心的な目標ですし、ロシアの影響もあって、非常に危機感が強いのだと思います。

Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事