2021-01-28

伊藤忠次期社長に石井専務 チームワーク重視のラガーマン

伊藤忠商事次期社長の石井敬太氏(左)と現社長の鈴木善久氏

実力者の岡藤会長は留任



「マーケットインの発想で、タテの商品割でなく、複合的な組み合わせを続けていかなければ、次の時代を乗り越えられない。今までの延長ではなく、次の10年、20年を生き残ることができる新しい商社モデルをつくりあげたい」

 こう語るのは、伊藤忠商事専務執行役員の石井敬太氏(60)。

 伊藤忠が、社長COO(最高執行責任者)の鈴木善久氏(65)が代表権のない副会長に、専務の石井氏が社長COOに昇格する人事を発表。実力者で会長CEO(最高経営責任者)の岡藤正広氏(71)は留任する。

 世界中でビジネスを展開する総合商社はコロナによる経済活動停滞の影響を受けやすい。各社とも厳しい経営が続く中、伊藤忠の2021年3月期の最終利益は4000億円(前年同期比20・2%減)の見通し。利益、株価、時価総額で商社トップに躍り出るのは確実だ。

 現在、エネルギー・化学品カンパニーのプレジデントをつとめる石井氏は1960年東京都生まれ。83年早稲田大学法学部卒業後、伊藤忠入社。化学品部門の出身で、米ヒューストンやタイ・バンコクで駐在した。

 鈴木氏が「ラガーマンでチームワークを重視する」と評するように、高校時代はラグビー部で花園(全国大会)にも出場。ポジションはフランカー。派手さはないが、運動量が多く、屈強な相手を倒しに行くプレーが求められる重要なポジション。

 伊藤忠でも同様の役割をこなしてきたようで、石井氏は「当社の化学品は地味で、どちらかというと敗戦処理や伸び悩みの組織の立て直しが多かった。そういう組織を盛り上げていくためには、魂を一つにして、目標を達成するための議論を突き詰めることが大事。自分が動かなければ誰も動かない。自ら率先して動いていきたい」と語る。

 業績堅調な伊藤忠にあって、課題は約6千億円を投じた中国の中国中信集団(CITIC)との更なる連携強化、そして、約5800億円を投じて完全子会社化したファミリーマートの成果を早く刈り取ることだ。

 課題克服へ向け、縦割りの打破という古くて新しい命題に挑む石井氏である。

Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事