2021-01-29

ヤマダHDが家電事業を再編 ベスト電器は会社消滅へ

家電をコア事業に住宅事業の強化を図る


 

 家電量販店最大手のヤマダホールディングスが、グループ再編を進めている。

 7月1日付で、グループの家電事業子会社・ヤマダデンキやベスト電器、マツヤデンキなど8社を統合し、ヤマダデンキを存続会社として吸収合併。また、金融事業ではベスト電器の完全子会社・ベストクレジットサービスをヤマダファイナンスサービスに吸収合併する。

 九州が地盤のベスト電器は、2012年に旧ヤマダ電機と資本・業務提携し、グループ入り。20年2月期の売上高は1325億円。20年9月末時点で国内148店舗を運営しているが、屋号(店名)は当面継続する方針だ。

 ヤマダは昨年10月に持ち株会社制に移行。今回のグループ再編は「各セグメントによる主体的な事業活動を加速すると共に、 グループのガバナンスをより一層強化する」(同社)ことが目的だ。

 11年にエス・バイ・エル(現ヤマダホームズ)を買収し、住宅事業を家電事業に次ぐ収益の柱として育成してきたヤマダ。すでに家具チェーンの大塚家具を子会社化した他、昨年10月には住宅メーカー・ヒノキヤグループを子会社化。家電をコア事業として、住宅事業の強化を図り、衣食住の「住」に特化した業態への転換を目指している。

 ヤマダが住宅事業の強化を急ぐのは、少子高齢化や人口減少が進む国内市場にあって、家電製品だけでは将来的な成長が見込めないと判断。また、ネット通販の台頭に加え、コロナ禍で消費者の財布のひもは固く、家電量販店もビジネスモデルの変革に迫られているからだ。

 近年、創業者で会長の山田昇氏が繰り返すのは「電気屋だけにとどまっていてはダメ。どんな業界でも、変革できない企業は必ず追い越されてしまう」ということ。同社の新業態『家電住まいる館』を見ると、もはや、ライバルは家具チェーンのニトリ。他の家電量販店とは生き方が違う。

 コロナ禍でも今期(2021年3月期)は増収増益を確保する見通しの同社。それでも危機感をもって、新たな販路の開拓を急ぐ山田氏である。

Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事